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小島麻貴二

2015年03月04日

介護職員・飲食店経営・音楽家 小島麻貴二さん 3 ~介護業界・注目の人 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

高次脳機能障害のリハビリテーションのためのデイケアに勤務しながら、自身の飲食店の経営、ベーシストとしての音楽活動を続ける小島さん。3つの仕事に共通する魅力や、それぞれの影響について伺いました。



○●○ プロフィール ○●○

3小島麻貴二(こじま・まきじ)さん/介護職員・ワイン食堂Margo経営・ミュージシャン

1971年生まれ。日本社会事業大学卒業。社会福祉主事の資格を取得し、卒業後、世田谷区社会福祉協議会の職員に。3年後、精神障害者のための作業所(就労移行支援・就労継続支援B型)に移り、菓子工場とカフェ・パイ焼き窯・パイ焼き茶房立ち上げに参加。その後、高次脳機能障害者の在宅生活を支えるリハビリテーション施設「ケアセンターふらっと」のアルバイトから正規職員に。現在は退職して週3日午前中勤務となり、夫人が経営する目黒区のワイン食堂Margoのワイン担当として日々お店に立つ。高校時代から続けてきた音楽も継続し、スタジオやライブのベーシストとしても活動する。

ケアセンターふらっとホームページ
ワイン食堂Margoホームページ


主体に寄り添う立ち位置に

――小島さんは、「食」には若い頃から興味があったんですか?
ありましたね。
心地よく生きてくこととは、自分をセンサーにして、感覚を研ぎ澄ませることだと思っています。僕が連れ合いとやっている店は、有機野菜を使い、玄米や天然酵母パンなどをお出しする店です。そんな「食」は、生きていく上で、感覚を研ぎ澄ませていくために一番大事なものかな、とも思います。だから、学生時代から、いつかそういう飲食店をやりたかった。連れ合いのおかげで、夢がかなったわけですよね。
それに、音楽と食は、人の心をグッとつかむ2大おいしいもの。どちらも自分には欠かせない大事なものです。

――Margoの店主は小島さんではないんですか?
連れ合いですね。彼女の料理の才能をサポートして生きていくことに喜びがあります。

パトリス・ルコントの『歓楽通り』という仏映画が好きです。娼婦の館で育った男が、ひとりの 薄幸な娼婦にひたむきで献身的な愛をひたすら捧げ続けるという、物語なんですけれど。そんなふうに、だれかをうしろでサポートするのが好きなんでしょうね。
音楽では、女の子2人と僕とで、ムーチーズというバンドをやっていたんですけれど、バンドって、演奏するほかに、やることがたくさんあるんですよ。そんなことをひとつずつこなして、演奏する段取りを整えることが楽しい、というか。

「ふらっと」も、精神力のあるリーダーがいて、そのまわりで自分を活かせる、支える喜びっていうんでしょうかね。まあ、裏方とかいいながら、黒子が後ろで大見栄切っている、という部分もあるんですけれどね(笑)。

――とにかく、自分が主役なのではなくて……。
脇に寄り添い続ける。それが僕の立ち位置ですね。

「ふらっと」で言えば、主体はもちろん、障がい当事者です。その方がどうしていいかわからないことを、せんえつながら少しお手伝いする、そこに自分の存在の意味があるのかな。


小さな達成の喜びをともに味わう

3-3
快く撮影に応じ、ポーズもキメてくれた謙太さん。DJ✩KENTAとしても活躍中。

――「ふらっと」の利用者さんは、人生の半ばにして事故や病気で脳の機能や体の自由の一部を失った方々ですよね。その機能を、少しずつよいほうに向けていくお手伝いをするのが、介護職員の方々の仕事でしょうか。
利用者さんのひとりに謙太さんという方がいます。
「ふらっと」を利用しはじめて11年目、交通事故による脳外傷の後遺症で車椅子に乗っていて、発語や記憶の部分に大きな障害を残して。コミュニケーションの手段は右手指を1本、2本と動かすような形なんですね。その謙太さん、このところ今までの成果もあって、活性が少しよくなっているんです。

「ふらっと」では、午前中、利用者さんたちはグループに分かれて、それぞれ行きたいところに外出していただく。僕らはその介助をしていますが、クリスマス前に、デパートに行くことになりました。

僕はたまたま謙太さんの担当になって、クリスマスケーキでも買うか、ということになって。そうしたら、指でOKマークをどんどん前に出して、「買う買う買う!」と動作するんです。前はゆっくり指を動かすぐらいだったんですけれど、力強く、意思が強くなっている。じゃあ、とケーキ売り場に行くと、ものすごい数のケーキを売っているわけですよね。

高次脳機能障害の方は、一般に、たくさんの中からひとつを選び出したり、ひとつのことに注意を向け続けることも大変な方が多く、謙太さんも同様なのですが、その日は、チョコレートのブッシュドノエルを選んだ。たしかに選んでいるので、買って帰ったんです。

あとから、ご家族からこんな話を聞きました。

「以前は半分眠っているような感じでしたが、今は覚醒(かくせい)してるんですね。10月末くらいに、新聞の折込チラシを見て、『今年のクリスマスケーキは、ブッシュドノエルがいい』と本人はたしかに表現していました。けれど、シーズンになって、娘と、『ケーキどうする?大きいのはいらないよ、本人覚えてないよ』などと、自分たちが食べたい小さいケーキを買おうかなどと、策略してたんですよ。それが、あの日、あれ!ブッシュドノエルを自分で買ってきた! 覚えてるんだ! もうだませない!と(笑)。気を引き締めました。そして、自分の買いたいものをちゃんと主張できたこともびっくりしました」

――小島さんが、その活性化を促したのですね。
促すというか、たまたま居合わす事ができた、というか。お付き合いが深くなると、「要支援者と支援者」という関係を越えてわかり合う、ということもありますね。

もちろん、僕だけの力ではなくて、ご本人の身体状況を注意深く観察したドクターがいて、この買い物の前に、彼の好きなプロレスの専門店に連れて行って活性化してくれた同僚がいて。DJとしても活動している謙太さんのために、僕もCDの店に一緒に行ったり。そんな活性のフックがたくさんあったからこその、ブッシュドノエルなわけです。

利用者さんは、自分の好きなこと、興味のあることなら、いつも以上の力を発揮することができる。その糸口をみつけて、達成に結びつけたときのうれしさが、ここで働く理由になっているんですね。

3-2
利用者さんとの活動の後、報告書をまとめる小島さん。

――脳に障害を負うということは、本当に日々の小さな動作、意思表示のひとつひとつを実現するのが「挑戦」ですね。
車椅子から便器に移乗するのに、立ち上がる、手すりに手をかける、ズボンを下ろす、腰を下ろすという動作を連続させることが難しいという方もいます。けれど、長い長い時間をかけて、日々動作を繰り返して、声かけをしなくても一連の動作がつながったとき、僕らは無上の喜びを感じます。

ほかの人から見れば、ほんの小さな挑戦や実現に見えるかもしれない。けれど、その人にとっては本当に大きな一歩。その一歩を踏み出すために、僕らは臨場しているのだと、しみじみと思います。

利用者さんの人生を考える、利用者さんに寄り添って、一緒に人生を創っていく。こんなクリエイティビティのある仕事はないですよね。

僕を「ふらっと」に結びつけてくれた元施設長の和田は、僕らの仕事を「これはタスクでもミッションでもなく、コーリングだ」とずいぶん前に語っていました。最近になって、ようやくわかってきた気がしますね。業務でも使命でもない、生きていく喜びなんです。

次回の最終回は、転職を考えるみなさんに、小島さんから「多様な人生を!」とメッセージです。



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