2016年09月28日

介護職から介護に特化したファイナンシャルプランナーへ…転職理由Kさん4

利用者さん本位の介護で、新人ながらホーム全体を変えていったKさん。その手腕に驚き、嫉妬する先輩たちにも、だんだん認められてきました。そして、副リーダーとして別の事業所に異動。そこで介護職としてKさんは羽ばたいていきます。経営力も発揮して本部からも期待されるKさんの活躍ぶりを読んで、ぜひ参考にしてください。

＊M・Kさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目（最終回）はこちら

M・Kさん（32歳）のプロフィール・転職経験

●介護業界歴…10年

●転職回数…１回

●今までの勤務先…有料老人ホーム

●現在の勤務先…自営業（ファイナンシャルプランナー）

●保有資格…介護福祉士、介護支援専門員、ファイナンシャルプランニング技能士

自分たちの老後を考えたときに「学びたい」と思った

自分がホーム長となってから、ホームの人事や評価基準を変えて、ホームの離職率を30％から7％に減らしました。それが、社内から認められたことはとても嬉しかった。しかし、だからといって、ホームの職員たちの待遇がどれだけ上がったかといえば、ほんのわずかです。

この給料で、結婚して子どもができて、その子を大学に入れて、自分たちは老後を豊かに送ることができるのでしょうか。

有料老人ホームで働いていると、高齢になったときの生活費がこれほど多く必要なのかと、愕然とします。自分たちの給料では、ここには入るのは難しい。虚しさを感じると同時に、親や自分の老後のために、今からなんとかしておかないといけないと思いました。

俄然、「将来設計を立てるための勉強をしよう」と思い立ちました。介護業界に必要な資格として、介護福祉士や介護支援専門員は取りましたが、将来の生活に役立つ資格となれば、お金を中心に将来を見据えるファイナンシャルプランナーだと思い立ち、勉強をして取得しました。

勉強をしてみると、自分の金融資産の管理がとてもいい加減だということがわかりました。また、両親の資産を見ても、無駄な生命保険をかけていて、もったいない、と思うことがたくさんありました。職員たちにも、どうお金を貯めたらいいのか、アドバイスをするようになり、そうした面でも信頼されるようになりました。

介護職や利用者さん、そのご家族には、もっと幸せな生活をしてほしい。今後は金融資産の設計を仕事にしたらいいのではないか。そんな思いが強くなったとき、介護を中心にしたファイナンシャルプランナーになろうという思いが固まりました。

開業半年でホーム長と同等の収入に

後輩にホーム長の引継ぎを丁寧にした後、独立しました。今は、様々なホームにお邪魔して、職員さんや利用者さん、そのご家族の将来設計のお手伝いをしたり、講演をしたりするのが主な仕事です。生命保険の取り扱いの資格も取ったので、みなさんの保険のアドバイスと見直しをし、保険会社からマージンをいただくようにもなりました。

保険の見直しをするときには、必ず以前よりもその方にとってよくなるようなものしか勧めないので、みなさんから好評です。次第にお客様を増やし、開業半年で、以前のホーム長のときと同等の収入を得ることができています。

介護を中心としたファイナンシャルプランですから、「年金でどこまでホームの費用が払えるか」「こんな病気になったときにどれぐらい治療費を払うのか」「障害者になったときにどんな制度が使え、年金はどれぐらいもらえるか」など、リアルなことをお伝えするようにしています。この説明のときには、介護現場で高齢者や病気の方々と接してきた経験が大きく役立っています。

介護職の中には、介護を天職だと感じている人もたくさんいます。その一方で、他の業界へ転職したい、でも介護職経験だけでは他の仕事にはなかなか就けないだろう、と思う人もいると思います。でも、視点を変えれば、介護職は、様々な仕事につなげることもできると思うのです。利用者さんを直接介護するだけが介護の仕事ではありません。

高齢化社会ですから、高齢者の体や気持ち、終末期の迎え方などを知っている介護職には、ビジネスチャンスがたくさんあります。僕のように、ファイナンシャルプランナーになるのもひとつの道ですし、他にもたくさんの職業とつなげることができると思います。僕の場合は、介護職を10年間一生懸命にやってきたことが、他のファイナンシャルプランナーとの差別化につながりました。

自分さえやる気を出せば、介護職はその経験やスキルを使って、どんどん社会での活躍の場を広げることができる、と信じています。今、仕事に悩んでいるみなさんも、視点を変えて自分を高めていく努力をしてみれば、意外な可能性が広がっているかもしれません。また、そうして自分を高めていけば、介護職にもっと誇りを持つことができ、結果的に介護現場で楽しく働くこともできると思うのです。

＊M・Kさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目（最終回）はこちら

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著者：介護求人

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