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2016年03月24日

家族に責任なし!認知症男性の鉄道事故で、今後の課題が浮き彫りに | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

q1家族に責任なし――。2016年3月初め、認知症を持つ男性の鉄道事故による損害賠償請求訴訟で、最高裁はそう判決を下しました(*)。このケースについては、妻と長男に監督責任はなく、賠償責任もないとされました。介護家族だけでなく介護サービス事業者も、この判決にホッと胸をなで下ろしたのではないでしょうか。

認知症を持つ人が、少し目を離した間に誰かに損害を与えてしまう。鉄道事故ではなくても、そうしたことはいくらでも起こりえます。そこで生じた損害について、監督責任を果たしていなかったといって、賠償責任を負うことになったら?

介護事業者が、「監督義務者に準ずる者」と見なされる可能性があるかどうかはわかりません。しかし、介護の現場は、認知症を持つ人が損害を引き起こさないよう、外出を制限するなど、管理的な方向に動くようになっていたかもしれません。


最高裁判決が示した賠償責任についての見解

q2今回の判決では、どのような場合に賠償責任を問えるかについても、以下のような見解を示しています。

・保護者や成年後見人であるというだけでは監督義務者に当たらない(賠償責任を問えない)
・夫婦は互いに協力や扶助の義務があるが、第三者が夫婦のどちらかに何かの義務を負わせることができるわけではない(賠償責任を問えない)
・日常生活における関係や、第三者に何か害を及ぼさないよう監督している実態から、監督義務を引き受けていると考えられる場合は、監督義務者に準ずる者として賠償責任を問える

また、監督義務者に準ずる者かどうかの判断では、以下のようなことを総合的に考慮するとのこと。

・本人の生活や心身の状況
・責任能力がない者との親族関係や同居の有無
・介護の実態 など

そして、実際に監督しているか、簡単に監督できるか、といった事情を踏まえて責任を問えるかどうかを判断する必要があるとしています。


誰が被害を救済するのか

同居して介護していた妻だから、長男だからというだけで、監督義務者だとは見なさない、というのが、今回の判決で示された見解です。しかし逆に言うと、一定の条件に当てはまれば、監督義務者に準ずる者と見なされ、損害賠償責任を負う可能性がある、ということ。これはなかなか怖いことです。

認知症を持つ人が第三者に何か損害を与える可能性は常にあります。その可能性をなくすには、家に閉じ込め、誰とも接触しないようにするしか方法がないように思えます。しかし、それでは人権に関わります。

また、損害賠償責任がないからといって、賠償しなかったとしたら、被害は誰が救済するのかという問題も残ります。今回の訴訟は、鉄道会社が被害を引き受ける形になりました。しかし、たとえば認知症を持つ人が起こした交通事故などで、被害者が個人だった場合、つまりは“泣き寝入り”ということになってしまいます。それでよいとは思えません。

家族側の勝訴でよかった。しかしそれで終わりではないということです。被害者を誰が救済するのかについては、国任せにせず、介護関係者も検討していかなくてはなりません。

<文:宮下公美子 (社会福祉士・介護福祉ライター)>

* 認知症徘徊事故、家族に責任なし JR賠償請求に最高裁判決(朝日新聞デジタル 2016年3月2日)

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