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2016年04月07日

終末期に自分だったらどんな医療を受けたい? 医師や介護職の回答に注目 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

q0介護の仕事に就いていると、様々な人の最期を目にすると思います。中には、本人がどういう最期を望んでいたかが共有されていないために、家族が対立してしまうケースもあります(*1)。人生の最後にどんな医療を受けるかについては、実はあまり家族間で話し合われていないという実態があるのですね。

2013年に厚生労働省が、人生の最終段階における医療(以下、最終医療と表記)に関する意識調査を実施しています(*2)。この調査は、一般国民、医師、看護師、施設介護職員など、合計約7000人に対して同じ質問をし(一部、医療職、介護職のみを対象とした質問あり)、その回答を集計したものです。

一般国民、医療職、介護職それぞれの回答者数が違いすぎるので、単純に横並びでの比較はできません。それでも、最終医療について、特に医療職がどう考えているかがある程度わかり、興味深いものがあります。
調査結果の一部を紹介しましょう。


医療職でも最終医療のことを話し合っていない人が約3~4割

▼あなたは、ご自身の死が近い場合に受けたい医療や受けたくない医療について、ご家族とどのくらい話し合ったことがありますか。

q1

医師、看護師といった医療職でも、自分の最終医療について「(自分の家族と)詳しく話し合っている」という人は、約1割。「全く話し合ったことがない」と答えている人が、3~4割もいます。医療現場の厳しい現実を日々見ているだけに、自分や家族の最期のことはあまり考えたくないのかもしれません。施設介護職員になると、「全く話し合ったことがない」人が5割に迫ります。


意思表示の書面作成に賛成。でも自分自身は未作成

▼あなたは、自分で判断できなくなった場合に備えて、どのような治療を受けたいか、 あるいは受けたくないかなどを記載した書面をあらかじめ作成しておくことについてどう思いますか。

q2

介護職は8割以上が賛成。医師は、7割強が賛成ですが、「反対」という人が一定数います。また、「わからない」という回答が2割強を占めているのも興味深いですね。このあとには実際に作成しているかどうかの設問もあるのですが、作成しているのは、最も多い医師でも5.0%。看護師と介護職員は3.5%、一般国民は3.2%というのが実態です。
最終医療の指示書は作った方がいいと思うけれど、自分はまだ元気だから必要ない、と考えているのでしょうか。


末期ガン。医師も病院で過ごしたくない?

以下は、人生の最終段階において、どのような医療を希望するかを聞いたデータです。特定の病状ケースを想定した回答となっています。

▼どこで過ごしながら医療を受けたいですか。

<ケース>末期がんであるが、食事はよくとれ、痛みもなく、意識や判断力は健康なときと同様 の場合

q3

末期ガンになったとき、一般国民はやはり今も医療機関で過ごすイメージがあるようです。約2割が医療機関で人生の最終段階を過ごしたいと考えています。一方、意外に思ったのは医療職の回答。医療機関で過ごしたいという回答は、医師は8.0%、看護師はわずか4.8%です。医療職は約9割が居宅で過ごすことを望んでいるのです。ガン末期の場合、医療にできることが少ないことを、医療職は実はよく分かっているのですね。次の設問への回答はさらに意外でした。


医師も抗がん剤や放射線治療は受けたくない

▼副作用はあるが、多少なりとも悪化を遅らせることを期待して、抗がん剤や放射線による治療を望みますか。

<ケース>末期がんと診断され、状態は悪化し、今は食事がとりにくい、呼吸が苦しいといった状態。しかし、痛みはなく、意識や判断力は健康な時と同様に保たれている。
(医療上の判断: 回復の見込みはなく、徐々にあるいは急に死に至る)

q4

末期ガンでの、抗がん剤や放射線治療について、一般国民は約3割が「望む」という回答です。一方、医療職で「望む」と回答したのは、1割強程度。「望まない」という回答が約7割を占めていることに驚きます。
現実を知っているだけに、末期と診断されたガンに対しては、闘いを挑まない医療職が多いのですね。末期でもガンと闘うことを望むのは、患者の方なのかもしれません。

また、医療職・介護職に対しては、次のように、患者にその治療を勧めるかという設問もありました。

▼自分が担当する患者が上と同じ病状になったとき、副作用はあるが、多少なりとも悪化を遅らせることを期待して、抗がん剤や放射線による治療をすすめますか。

q5

回復の見込みがない患者に対しては、約6割の医師が、副作用のある抗がん剤や放射線での治療をすすめない、と回答しています。一方で、2割弱の医師は抗がん剤や放射線での治療をすすめるという回答。

医師の判断も、その医師の考え方、患者の病状、家族の状況など、様々な要因によって変わってくるということなのでしょう。最終的にどのような選択をするのかを決めるのは本人や家族。介護職としては、最善の選択ができるよう、支援していきたいですね。

以上、最終医療についての調査結果からでした。

<文:宮下公美子 (社会福祉士・介護福祉ライター)>

*1  望む最期、どう迎える 意思はっきり、家族・医師に (日経電子版 2016年3月7日)
*2 人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書(終末期医療に関する意識調査等検討会 平成26年3月)【PDF】

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