2014年11月12日

介護タクシーいるか雲郡司知幸さん 4 ～介護業界・注目の人 | 「介護求人ナビ　介護転職お役立ち情報」

大手の運輸会社や有料老人ホームのホーム長を辞め、介護タクシー（福祉タクシー）として自営を始めた郡司さん。「介護のありかた」について、ますます思いは深くなっているようです。そんな郡司さんのメッセージは、やさしく心にしみわたります。

○●○ プロフィール ○●○

郡司知幸（ぐんじ・ともゆき）さん／福祉タクシー　いるか雲代表

1993年、ヤマト運輸㈱に入社し、8年間、経理、お客様相談センター、国際関係の部署に勤務。2001年に退社し、上智社会福祉専門学校入学、2004年卒業。特定非営利活動法人　楽　ひつじ雲の立ち上げメンバーを経て、同年大手介護事業者に入社。有料老人ホームのホーム長をつとめ、2013年　福祉タクシー　いるか雲開業。介護福祉士、国土交通省関東運輸許可事業　関自旅二第2217号

福祉タクシー　いるか雲

１泊２日で利用者様にお付き合いすることも

いつもの業務スタイル。東京の杉並区、世田谷区を本拠にし、利用者様の要望に合わせてどこへでも移動を。

――実際に介護タクシーを依頼されるのは、どんなケースが多いですか？

やはり、通院のご要望が多いですね。有料老人ホームから病院への送迎、ご自宅からの送迎を望まれることが、回数においても多くなります。

その他で言えば、冠婚葬祭でしょうか。法事やお墓参りに、と依頼していただくケースも多いです。

――そうなりますと、近隣だけではなく、遠くまで行くこともあるのでしょうね。

はい、営業して１年半になりますが、一番遠くて、名古屋までの片道。また法事で郡山に１泊で行くから、２日間付き合って欲しいと依頼していただいたこともあります。また、軽井沢に家があり、「たまには近隣の方々にご挨拶をしたいので」と依頼されたケースもありました。お年を召すと、そうした場合におひとりででかけるわけにもいきませんし、介護タクシーを頼むケースがあるんですね。

また、私は介護福祉士でもあるので、自宅に帰るまでのお世話をさせていただくこともありますね。近々、都内での結婚式に出席する方がいらっしゃるのですが、「嚥下の状態が心配だから、披露宴の食事の介助も頼みたい」とおっしゃられています。私もいっしょに、結婚式に出席することになります。

――ただ移動するだけでなく、利用者様の体調なども考えながら接するのですね。

はい。法事なども、長い時間すわっていらっしゃると、帰宅してから疲れて具合が悪くならないか心配なんです。それで、ご本人と相談し、会場の方にお願いをして、畳の部屋で少し休んでいただくようにお世話したこともありました。介護福祉士であることが役立ち、よかったと思える瞬間ですね。

やわらかな手で接することが仕事の基本に

ふっくらとやわらかい手は、ハンドクリームでのお手入れの賜物!?

――利用者様と接するときに、特に気をつけていることはありますか？

大切なのは、「空気感」ですね。安心していただける空気感を醸し出すことです。はじめてお会いして、私の運転で移動していただくわけです。つまり、命をお預かりしているわけですから、安心していただけるよう、心を配りたいと思っています。その内容はいろいろありますが、気をつけているのは「やわらかな手であること」でしょうか。車に乗っていただくときや、目的地で過ごされるときなど、利用者様のお体に触れることは多いんです。そんなとき、ガサガサした手でギュッとつかまれたら、とても不安になりますし、実際に痛いと思うんですよ。だから、日頃からハンドクリームを欠かさず塗っています。私は髪の手入れは面倒で短くしているんですが、手の手入れは欠かしませんね(笑)。

それと、当然ですが、笑顔です。笑顔で安心していただきたい。ホームで働いているときも同じ考えでした。

――介護の業界に入って、10年以上経ちましたが、後輩に伝えることはありますか？

私は、ひとところにできるだけ長くいようと思っていました。運輸会社に8年、介護施設に8年。結果的に辞めることにはなりましたが、運輸会社での経験も、介護施設での経験や人脈も、今の自分に欠かせないものになっています。やはり、２、３年で辞めてしまっては見えないこともあると思います。ましてや半年で辞めてしまうようでは、介護のことなどわからずじまいになってしまいますよね。

仕事というものは、どこでやっても、もっと言えばどんな業界でも厳しいものです。その中で、どんな理念を持って、仕事に立ち向かって行けるのか、よく考えて、仕事を選んでもらえればと思います。

利用者様からいただいた手紙。感謝の言葉をいただくことで大きなやりがいに。

――介護タクシーを運営する人としては、どんな展望を持っていますか？

世の中、行けないところはないと思っています。「高齢だからもうどこにも行けない」「足が悪いから旅行なんて無理」と思わず、まずはご相談をいただければと思います。

自分自身としては、そんなふうにきめ細かくご利用いただくために、あまり忙しくなりすぎないようにしたいと考えます。将来、両親の世話もしたいですし、自分なりの「豊かさ」にこだわって人生を生きていきたいな、と思います。

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著者：介護求人

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