毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「信じこんだ適性診断が人生を変えた」という話題について紹介します。
転々と変えていた仕事。心機一転、介護業界へ!そのきっかけは…
仕事選びをする際、誰もが知りたいのが、「自分がその仕事に本当に向いているのか」ということ。自分がやりたいと思って選んだ仕事なのにあっという間に辞めてしまう人がいる一方で、あまり気乗りがしないまま始めた仕事が一生の仕事になったという人も珍しくない。
今では雑誌やインターネットなどで適性診断がいくらでもできる時代だが、中には“カラクリ”があるものもあるようだ。
現在、関東地方の介護事業所でホームヘルパーとして働く30代のニシザキさん。
20代前半から転々と仕事を変え、30歳直前に介護の仕事に就いたという。彼女自身も、やりたいと思って選んだ仕事をあっという間に辞めてしまった一人だ。
「私は子供の頃からファッションに興味があり、ヘアメイクアーティストかスタイリストになりたくて、高校卒業後に美容系の専門学校に通いました。専門学校を卒業した後は、業界で活躍する先輩のアシスタントになりましたが、体力的にキツく、給与もあまりに安いので2年ほどで辞めてしまいました。けれどもそれは言い訳で、結局自分にはその業界で生きていくだけの才能が無かったんです」
早々に挫折を味わったものの、「10年後はハリウッドで働いてるから!」と大口を叩いて東京に出てきた手前、おめおめ地元に帰るわけにもいかなかったニシザキさん。
その後は、飲食店、サービス業、ショップ店員などを気の向くままに転職したものの、30代を目の前にして「このままじゃいけない」と思い、友人の勧めで介護業界の門を叩いたのだ。
「介護職にピッタリ!」という適性診断結果。実はそこにはカラクリが…
当時、介護の世界に飛びこむニシザキさんの背中を大きく押したのが、「適性診断」。しかし、ニシザキさんは「だまされたのかな?」と思ったと語る。
「私は学歴も専門学校卒ですし、資格も何もなく、面接で積極的にアピールできるようなスキルもありませんでした。
けれども介護関係の就職資料を見ていて、そこに掲載されていた適性診断をやってみたら、『介護のお仕事にピッタリ』という結果が出たのです。私はそれを素直に信じ、介護業界に入りました」
しかし、何年か後に、仕事場で適性診断の話になったとき、ニシザキさんは先輩ヘルパーから驚きの真実を聞いたという。
「ある先輩が、
『あなたが受けた適性診断って、YESかNOかで答えて、最後に“あなたの適性度は○○%”っていうヤツ?
あれって、“困っている人を見かけたら助けたくなる”とか“捨てられた動物を家に連れて帰ったことがある”とか、YESと答えたくなるような質問ばかりで、ほとんどの人が“あなたは介護業界にピッタリです”にたどり着くのよね。
もしかして結果には、介護の仕事の向き不向きじゃなくて、“施設で働くのがオススメ”とか“ヘルパーが向いてる”とか、介護職として働く場所の選び方が書いてあったんじゃない?』
と言っていたんです」
どうやらニシザキさんは、広告ページに掲載された、“介護の仕事をするなら”という前提で作られた適性診断の結果を信じこんでしまったのだそう。
ただし、実際働き始めると、何ごともテキパキとしていてコミュニケーション能力も高いニシザキさんは、どの訪問先でも大変好評だという。
今では、「適性診断は信じるべきよ」と、“適性診断にだまされた”ことをネタにしているそうだ。