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映画で介護を学ぶ・楽しむ

『99歳 母と暮らせば』:在宅介護をリアルに描いたドキュメンタリー映画

2019年5月26日

■作品名:99歳 母と暮らせば
2018年/92分
■出演:谷光千江子 谷光賢 谷光育子 谷光章 ほか
■監督・企画・撮影・編集・ナレーション:谷光章

2019年6月8日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開。

在宅介護のリアル!もうすぐ100歳とは思えないおちゃめな母を息子が描く

99歳の母親の介護のために一緒に暮らすことになった71歳の次男が、自ら監督・撮影したヒューマン・ドキュメンタリー映画。

……と言うと、命の灯が消えそうな小さく痩せたおばあさんの介護が想像されるが、とんでもない!

この99歳のお母さん・千江子さんの元気なこと!
食べることが大好きで、朝ご飯を食べてしばらくすれば、「おなかがすいた、おにぎり3個食べたい!」と駄々をこねるほどふくよかな大食漢。
ハーモニカや歌が上手で、いまだにボタンつけもできて、笑顔がとびっきりカワイイ。

こんなに明るくおちゃめなおばあちゃんが、認知症の症状があるからと、たまに訪ねてくる家族に厳しくしかられ、バカにされていることに耐え切れず、映像作家である次男・谷光章さんが同居を始めたのだという。

谷光さんの母への介護は、ほんわかと温かく、ほほえましい。
隣家の長男夫婦のサポートがあるとはいえ、二人暮らしで介護と家事と仕事を成り立たせるのは大変だろうと思うのに、とにかく言葉かけが優しいのだ。

母の千江子さんが失敗しても、おっとりと「え~~っ(笑)」「頼みますよ~」と受け止める。
それも、「叱らないと決めているから」というような厳格なものではなく、母親の突飛な言動を半分おもしろがりながら淡々とながめ、映像に収めている。

 

「高齢者を見下げない」ことが、介護の基本中の基本

1世紀近くの年月を懸命に生きてきた高齢者を、「尊厳ある存在」として扱う。
当たり前のようでいて、私たちにはそれができているだろうか。
年を取って物忘れが増え、通販で次々と物を買ったら、「やっかいな年寄り」として下に見ていないだろうか。

買い物を取り上げ、調理を取り上げ、ただぼーっと何もさせないでおくことが最良の危機管理だと思い込むのは大間違いなのだと、この映画を見て思う。

母親が、味噌汁が入った鍋を火にかけっぱなしにして鍋を焦がしたとき。
介護者である章さんが「火事になるよ~」と心配しながら言うからこそ、母親は自分から「どっか抜けとるね」と言えるのだ。
唯一、章さんが便失禁を少し厳しく叱ったときだけは、目を泳がせ、失禁をごまかす。
叱って責めれば、千江子さんもこんな表情をするのか――。
このシーンもまた、介護のあり方を考えさせられる。

淡々とした章さんのナレーションや湘南・藤沢の風景も心にやわらかく響く。
介護の辛さを伝えるのではなく、在宅介護の日常を切り取ったこの映画。
章さんと千江子さんが手をつないで光の中を歩くシーンが、いつまでも忘れられない。

<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>

○●○『99歳 母と暮らせば』谷光章監督インタビュー○●○

——ご自宅でお母様の介護をしようと思った経緯を教えて下さい。
たまに実家に戻ると家族に母が怒られたり怒鳴られたりしているのを目にして、本人が不快にならないような介護があるのではないかと。
私なりの接し方をしようと思って一緒に住むことを決めました。

——カメラを回そうと思ったのは介護を始めてすぐの頃からですか?
4年前から実家に住むようになって、最初の1年間はどんな様子なのか見ていたんですけど、頻繁に認知症の症状が出るようなので、すぐにカメラを回せるように用意しておいて、何かあったらすぐ回そうかなと。母が99歳になる前から撮影を始めました。

——現在も撮影は続けていますか?
今は撮影していないです。100歳になるタイミングで映画を上映してもらえばと思い作っていました。少し上映のタイミングがずれてしまいましたが、今、母は101歳でまだまだ元気です。

——谷光監督自身、千江子さんと似たところはありますか?
割と楽天的なところというか、何事も深刻にとらえないところというか、自由奔放なところは似ているかもしれませんね。

——「介護」について、世間ではいまだに暗いイメージが持たれますが、谷光監督は明るく介護をしています。意識して明るくしているのですか?
特に明るいところを撮ろうと思っていたわけではなくて、日常を淡々と切り取ってる感じなんですけどね。母も私も元々お笑い好きな関西出身の人間なので、そこに崇高な意図があってやったわけではないですね。

——谷光監督の経歴を教えて下さい。
10年近く映画会社でニュース映画の企画担当をしていました。色々なネタを作る中で、障害者や社会的弱者などに目を向けたり、色んな人に話を聞きながら、映像でその人たちの立場になって助けられるようなことを出来ればと、常々思っていました。
その後はずっとフリーで企業の販促用の映像やテレビのドキュメンタリー番組などを作っていました。
それから、障害者支援団体が実施している学習支援員の養成講座の講演記録を撮影しています。

——映像作家としての仕事だけでなく、個人的に発達障害の方々の支援活動をされていると聞きました。高齢者介護と似ているところはありますか?
認知症も発達障害も、表に出る症状だけで判断してはいけないと思います。様々な症状を起こすのには必ず理由があります。
相手の人達の気持ちとか心の真意を理解してあげて、接していくということが介護や支援の基本なんだろうなと思いますね。

——撮影中に涙を流してしまうことや、辛い気持ちになったことは、ありませんでしたか?
感動して泣くことはありませんでしたが、正直に言って、やっぱり排泄物の粗相に出くわしたり、その始末などは、仕方がないことなんですけど少し辛いものがありましたね。

——「人生100年時代」と言われていますが、元気で健康的に生きるには、何が必要だと思いますか?
介護する側も、介護される側もストレスが溜らないような形で接する、ということじゃないでしょうか。
お互いに気持ち良い関係を作っていくということが、ストレスを溜めないで楽しく気持ち良く日常を送ることができて、長生きできるのではないかなと思います。

——介護職という仕事について、介護家族としてどのような目線で見ていらっしゃいますか?
介護職の人たちも、ストレスを溜めない、余裕を持って人と接する、ということを忘れないでいてほしいと思います。
介護の仕事というのは、給料も少ないといった不満もあると思うんですよ。やってられるかって気持ちになったりするだろうと。
ただ、それは実際に介護する介護職の本人だけの問題ではないと思うんです。社会全体の基盤の部分で、生活が安定し、気持ち良く働ける環境整備をするなどのような社会になってほしいと思いますね。

——自宅で家族を介護されている人たちに、アドバイスをお願いします。
仕事をしながら自宅で介護されている方は大変だと思うんですよ。時間がない中、次々と問題が起きて、自分の問題も抱えながらだったり。
家族だけでの介護が難しい部分は、ヘルパーさんや様々な公的な支援などを利用しながら、自分がイライラせずに余裕を持って気持ち良く接してあげられるような介護をしていってもらいたいですね。

<提供:アルゴ・ピクチャーズ株式会社>

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