2017年08月23日

同じデイサービスでもこんなに違う？男社会が合わなくて…転職理由Fさん3 | 「介護求人ナビ　介護転職お役立ち情報」

7年間勤務した法人を退職し、リハビリに力を入れているデイサービスへ、学びと経験を深めるために転職したF・Sさん。
しかし、転職して真っ先に感じたのは「同じデイでも、経営も理念もこんなに違う？」という驚きでした。そして、悩み、苦しんで……。
今回は、「こんなはずではなかった」という思いをどう解決していくか、その過程をお伝えします。

＊F・Sさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目（最終回）はこちら

F・Sさん（42歳）のプロフィール・転職体験

●介護業界歴…12年

●介護の仕事に就く前…メーカー事務職、専業主婦

●介護業界での転職回数…2回

●いままでの勤務先…デイサービス、グループホーム

●保有資格…介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士

まるで体育会系の部室のような雰囲気のデイサービス

リハビリに力を入れているデイサービスに転職が決まり、初日は意気揚々と出勤しました。ここでも私は生活相談員として勤務することになりました。
しかし、事業所のドアを開けて入ったとたん、以前のデイとは全く雰囲気が違うことに驚きました。それは男性職員が多いことによるものでした。
母体が接骨院のためか、理学療法士（PT）の男性が多く、管理者も統括事務長もみんな男性。
なんだか体育会系の部室のような雰囲気なのです。

「これからはただ高齢者を預かるだけでなく、何かに特化したデイサービスでなくてはならない」と管理者は言います。その特化した部分が理学療法士によるリハビリテーションなわけです。
たしかに、マッサージや歩行訓練などはとても充実しています。それはとてもよいことですし、利用者さんのためになります。

でも、利用者さんの感情が置き去りにされているのを感じました。リハビリではなく「訓練」みたいな感じなのです。
以前は歩けていたのに歩けなくなった利用者さんや、脳梗塞で片麻痺になったような利用者さんは、自分の身体の変化がショックで、なかなか現実を受け入れられません。
そんな中でリハビリを始めるので、まずは一人ひとりの気持ちに寄り添い、愚痴を聞き、リハビリに向かい合う勇気を出してもらって――というプロセスが必要なのです。
けれど、ここのリハビリはそのようなプロセスがなく、とにかくプログラムをこなす紋切り型。利用者さんたちも「訓練されている」という気持ちで従っていました。

組織の在り方にも、違和感がありました。いじめはなかったのですが、職場の序列がはっきりしていて。現場の意見を上げるのには覚悟がいりました。
トップの存在が大きく、トップを頂点にしたピラミッドが確立されていて。新人の私はもちろん、一番下です。一番下の私が改善要望を出しても、あまり通らなかったですね。

また、前の会社では書類の提出が多少遅くても大丈夫でしたが、ここではきっちりと期限があり、約束の日までに提出できないと、お叱りを受けます。

書類をめぐって、一つ忘れられない出来事があります。
その日、私は利用者さんの送迎中に、車を電柱に軽くぶつけてしまいました。ぶつけた原因は、利用者さんがあばれて車内が騒然となったときに、運悪く小さな路地の曲がり角に差し掛かってしまったからです。
そのことを上司に伝えると、詳細な報告書と始末書を書くことを求められました。車をぶつけたのはたしかに悪いことですが、「大変だったね」という言葉はもちろん、「利用者さんたちにケガはなかった？」という確認もないのです。
車をぶつけたという「悪いこと」をしたのだから、利用者さんはどうあれ、とにかく始末書を書けという感じで。「事故処理」という言い方をし、書類の提出と、かかったお金の算出をすることに終始していました。
事務長が保険会社の出身だったことも、関係があるのかもしれません。

細かい書類が多いこともあって、利用者さんを送り届けてからの仕事も多くて。いくらがんばっても時間内には終わりませんでした。帰宅時間はいつも夕飯時を過ぎてしまって。
お給料は前の会社よりよかったけれど、精神的にも身体的にも疲れは大きかったです。

手術を理由に退職届を提出、デイサービス立ち上げに参加

前の法人の管理者と私は、同志のような関係でした。
彼女は以前から「自分でデイサービスを立ち上げたい」と言っていて、「立ち上げたときには、ぜひ来てほしい。一緒にやりましょう」と誘ってくれていたのです。
彼女とはずっと連絡を取っていて、私が最初の職場でも、次の職場でも悩んでいたのを知っていました。
彼女が前の職場を辞めて2年。着々と準備が進み、設立のときを迎えていました。

同時に、私の身体にも、変化が起きていました。
私には子宮筋腫があります。子宮筋腫は良性の腫瘍なので、命にはかかわりませんが、生理のたびに出血がひどいのです。
そのため、普段から貧血気味でだるさを感じていました。
この頃になると、貧血はますますひどくなり、ときには朝、布団から起き上がれないほどでした。

医師からも「早く手術を受けて切除しないと、貧血がひどくなりすぎて、普通に生活ができなくなります。もう限界ですよ」と言われてしまいました。
新しいデイサービスに勤務してまだ1年半、辞めるには早いと思いましたが、退職して身体を治し、自分たちの理念を実現するデイサービスを立ち上げたい――。そんな思いが募り、ついに退職届を出すことにしました。

体調が原因、しかも手術を受ける必要もあったので、退職はすんなり認めてもらえました。
退職してすぐに手術を受けました。幸運なことに術後の回復も順調で、デイサービスの立ち上げに間に合ったのです。

最終回の次回は、友人とデイサービスを立ち上げ、管理者としてイキイキと働くFさんの心境をお伝えします。

＜三輪　泉（ライター・社会福祉士）＞

＊F・Sさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目（最終回）はこちら

●先輩たちの職場選びの失敗事例に学ぼう
→　「こんなはずじゃなかった…」転職先選び私の失敗談

●○●　介護業界で転職する時の　基本ノウハウ　●○●

介護求人ナビの求人数は業界最大級！エリア・職種・事業所の種類など、さまざまな条件で検索できます

この記事をシェアする

著者：介護求人

介護求人の記事一覧はこちら

介護求人ナビは全国で40,000件以上の介護・福祉の求人情報を掲載した、介護業界最大級の求人サイトです。訪問介護やデイサービス、グループホーム、有料老人ホーム、特別養護老人ホームなど高齢者介護の施設や、児童福祉や障害者支援に関わる施設・事業所の求人情報を多数掲載中。介護職、ヘルパー、ケアマネジャー、サービス提供責任者、ドライバーなど職種だけでなく、施設種類での検索や給与検索、土日休み・週休2日制・日勤のみ・夜勤専従・残業なしなど、こだわり条件での求人検索の機能も充実しているので、あなたにぴったりの介護求人が効率よく見つけられます。ブランク可な求人や未経験可の求人、研修制度ありの求人も掲載しているので、初めての転職でも安心！転職・就職・再就職・復職・アルバイト探しに、介護求人ナビをぜひご活用ください。

介護求人ナビに掲載している求人情報