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2020年09月29日

仕事か?家族か? 地方視察で出会った『無理をしない介護・福祉』~転職体験Rさん3



◆訪問介護(登録ヘルパー)→成年後見事業所(新規事業担当)→住宅型有料老人ホーム(介護職)

R・Jさん(女性・48歳)
介護業界での職歴
●介護・福祉関連法人(勤務期間:14年)
・訪問介護事業所(登録ヘルパー)(経験年数2年/時給約1,000円)
・訪問介護事業所(サービス提供責任者)(経験年数2年/月収約17万円)
・居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)(経験年数10年)※成年後見事業所と兼務
・成年後見事業所(新規事業担当/成年後見人)(経験年数10年/年収約400万円)
●住宅型有料老人ホーム(介護職・パート)(勤務期間:1年/時給約1,010円)


介護職以外の仕事:事務職員、飲食店店員など
保有資格:介護福祉士、介護支援専門員
家族構成:本人、夫、長女20歳、長男18歳

*R・Jさんの「転職体験談」
第1回:パート主婦から新規事業担当者へ 介護業界で歩んだ激動の日々~転職体験Rさん1
第2回:介護士から経営者へ!「お金で困らせない」ための成年後見事業の立ち上げ~転職体験Rさん2
第3回:仕事か?家族か? 地方視察で出会った『無理をしない介護・福祉』~転職体験Rさん3(今回)
第4回:良い仕事は、自分の幸せから!転職で『いい働き方』に気付けた~転職体験Rさん4


【新規事業の立ち上げ】社会貢献のための仕事は楽しい!だけど本心は…

社会貢献のための仕事は楽しい!だけど本心は
「葉っぱビジネス」のような新たな事業を考えたい

主婦のパートとして登録ヘルパーになり、初めて触れることになった介護業界。
訪問ヘルパー、サービス提供責任者、ケアマネジャー、介護タクシーとさまざまな経験をしたのちに、「成年後見」を事業として扱うNPO法人を継続する担当となりました。

成年後見事業を請け負ってからは、成年後見をやりながら、居宅介護ケアマネも兼務し、どんどん忙しくなってきました。
その間も、法人トップは休むことなく、さまざまなことを考えます。
介護や福祉を超えて、地域で何ができるのかを考え、会議していたりしましたが、そんな中でまたひらめくのです。
「Rさん、何もないところから生み出すビジネスを考えてみよう。『葉っぱビジネス』って聞いたことあるよね。地域の木々から舞い散る葉っぱを、日本料理のあしらいにするなどして、買ってもらう。何も資金はいらなくて、地域に利益をもたらす。うちの法人でもそういうビジネスをやりたいんだよ」と。

もちろん、地域活動をして社会貢献をしていきたいと思っていた私や仲間たちは、賛同します。
それはすばらしい、それができればこの地域ももっとうるおい、高齢者も障害者も豊かになるなら、やってみたい!と。

残業続きの疲れ、成長した娘の心配……。仕事に前向きになれない

新しい事業を考えるのは楽しいし、わくわくする反面、なけなしのエネルギーを注がなければならないという焦りや不安で、徐々に疲れてきていました。

シングルマザーの生活は、それほど安泰ではありません。
娘は思春期にさしかかると不安定になり、ときどき本当に心配になります。

会社からは「ちょっと地方都市に何日か出張に行って、視察してきてほしい」と言われることもありましたが、娘のことを心配しながら働いていて、自分は本当に楽しいのか、だんだんわからなくなってきていました。

今思えば、知らず知らずのうちに疲労が貯まっていて、前向きになれなかったのですね。
それなのに、「トップに気に入られ、自分に声がかかった。だからやらなくては」という使命感や自尊心が勝ってしまって、疲労を押さえ込む。
それを14年も続けてきて、体も心もまいってしまったのです。

でも、当時の私は、トップの願いを叶えたいという一心で、周囲の人たちに娘の見守りもしてもらいながら、長い出張に出かけていきました。


【退職のきっかけ】豊かな自然と今の夫との出会い

退職のきっかけ
がむしゃらでなくても実現できる「福祉」の姿を目の当たりに

私の運命を変えたのは、視察ででかけた四国の海沿いの町でのできごとでした。

ここに何があるのかもわからない。でも深い緑の自然と、美しい海。ただそこにいるだけで癒やされました。
とはいえ、ここで何が生み出せるのだろう。トップの頭の中にある理想をここで現実にするのは無理なのではないか。でも、帰ったらそれなりの成果を求められる。

私には期待に応えられる気がしませんでした。
もう帰りたくない、ここにずっといて、のんびり暮らしたい、なぜかそんな思いにかられました。

そんなとき、地元の人に紹介されたのが、今の夫になる人でした。
自閉症の息子とともに、この地に移り住んでいました。
聞けば、ずっと父子で暮らしているとのこと。
「息子のために何ができるか」と常に考えている人で、「息子と農業をやりたい」という思いもあり、コツコツと勉強を重ね、人脈も増やしていました。

息子は、本来ならかなり障害が重く、ほとんど家から出られなくてもおかしくないような子でした。
しかし、障害について深く勉強をしてきた父親の対処がすばらしいのです。
それで、息子は料理もでき、ひとりで買い物にも行き、泳いでボートに乗って、そして楽しそうに笑っている。
横で穏やかに微笑む彼を見て、イケイケで強引なトップとのあまりの違いに呆然としました。
同じ福祉に取り組むのでも、こんな違いがあるのかと。

「ここにずっといていい」と言われ、はじめて人に包まれた

そう思うと、焦りいらだち、時間に追われて過ごしてきた自分もまたちっぽけな存在に思えてきました。
プライベートの充実など、ずっと考えてこなかった。
話しやすい雰囲気の彼に、自然と自分の人生を語ると、穏やかに受け止め、「大変でしたね、お嬢さんも連れて来たらよかったのに。しばらくここにいたら、気持ちが落ち着いて、お嬢さんも楽になるんじゃないですか?あなたもいっしょにここに住んでもいいですよ」と。

それを聞いて、全身の力が抜けました。食いしばっていた歯の痛みも、握りすぎていたこぶしもゆるめ、この人になにもかも預けたくなりました。


【退職を決意してから】14年勤めた法人を辞めるときの心境は?

退職を決意
「今までどおりは働けない」退職を決意

あまりにも衝撃的な体験をし、帰り道はぼんやりしてしまいました。
でももう、トップに言われるままに“ビジネス戦士”をやることはできないな、という思いが強くなりました。

辞めよう。
でも、どう言ったらいいのか。
これまでの恩をどう感謝して謝って、やめればいいのか。
何日も頭の中で退職の言葉を考え続けました。

引き留められたら…と思っていたけれど

しかし、思い切って退職届を出すと、トップは「あ、そう、じゃいつでもどうぞ辞めてください」と、あっさりしたものでした。

これまでも何人もの人が辞めていたのを見てきました。
残業続きの仕事に疲れ、家庭や恋人ともうまくいかなくなり、苦しい思いで辞職願を出す。
そのときのあっさりとした対応を見て驚きましたが、密かに自分は違うと思っていたのです。
ほかの人とは、目のかけられかたが違っていた。
私はトップに気に入られていた、だから絶対に引き留められるだろう。
強く引き留められ、今の心情をわかってくれたら、私も考え直すのだろうか、などと夢想していましたが、引き留められることなくあっさり退職することになったのです。

これまでの14年間はなんだったのだろうか、と空しさでいっぱいになりましたが、新しい生活に向けて踏ん切りもつきました。
頭を下げ、帰るなり家の荷物をまとめ、四国へ向かう準備を始めました。


【新しい暮らしと転職】家族との時間を第一に。パートでも介護の仕事がしたい

新しい暮らしと転職
夫と息子と私の3人の暮らしを始める

その後、すぐに彼のもとに行きました。
彼の息子も歓迎してくれて、新しい暮らしが始まりました。
娘は四国に行こうかどうしようかさんざん悩んだ末に、「行かない」という選択をしました。
今は元夫といっしょに住んでいます。

私は今の夫と彼の自閉症の息子と3人で住んでいます。
彼の夢でもあった農業を一緒にやっていこうと決意しました。
ただ、新しい土地ですぐ軌道に乗せるのはとても難しいです。
夢だけでは暮らしていけません。

夫は建築の技術を生かして家のメンテナンスの仕事を始め、私も働こうと思いました。

「やっぱり介護の仕事がしたい!」有料老人ホームへ転職

新しい土地で私はまずはどこで働こうかと考えたとき、やはり介護の仕事をしようと思いました。
だれかを支える仕事は好きですし、あんなふうにアグレッシブに働かなくても、介護の仕事はできる。
もっと静かに穏やかに、高齢の方に寄り添う時間があってもいいかな、と思ったのです。

そこで、有料老人ホームで介護職として働くことにしました。

週5日・15時までのパート勤務で、家族との時間を大事にしたい

有料老人ホームでの今の仕事は、ケアマネジャーの資格も不要な、時給1010円のパートの仕事。
家族との時間も大事にしたいから、週5日の勤務ですが、終わり時間は15時にしてもらっています。
ゆっくりとした時間の中で、本当にやりたいことを見つめ、着々と準備していきたいと思ったのです。

今は体調もいいですし、睡眠もしっかりとれる。
気がかりだった娘も、離れてみたら、お互いにいい距離が持てるようになりました。
気づけば娘も20歳になり、大人になったのです。

こうして新しい生活が始まりました。


<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>

最終回の次回は、四国の海辺の村で新しい暮らしを始めるRさんの姿をお伝えします。

*R・Jさんの「転職体験談」
第1回:パート主婦から新規事業担当者へ 介護業界で歩んだ激動の日々~転職体験Rさん1
第2回:介護士から経営者へ!「お金で困らせない」ための成年後見事業の立ち上げ~転職体験Rさん2
第3回:仕事か?家族か? 地方視察で出会った『無理をしない介護・福祉』~転職体験Rさん3(今回)
第4回:良い仕事は、自分の幸せから!転職で『いい働き方』に気付けた~転職体験Rさん4





●○● 介護業界で転職する時の 基本ノウハウ ●○●

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