介護福祉士になるには、受験資格を得て国家試験に合格しなければなりません。
本記事では、社会人が働きながら介護福祉士を目指す方法や、受験資格を得るための4つのルートについて解説!「ヘルパー2級から介護福祉士になる方法は?」「最短何年かかる?」などのよくある質問にも回答します。
目次
■ 介護福祉士になるには?
■ 【介護福祉士】国家試験の受験資格を得る方法
①働きながら実務経験を積む
②養成施設を卒業する
③福祉系高校を卒業する
④EPA介護福祉士候補者になる
■ 【介護福祉士】国家試験の概要
■ 【介護福祉士】国家試験の難易度
■ 介護福祉士を目指す方からのよくある質問
・ヘルパー2級から介護福祉士になるには?
・介護福祉士になるには最短で何年かかる?
・働きながら介護福祉士になるには?
■ 受験ルートを確認して介護福祉士を目指しましょう
介護福祉士は名称独占の国家資格です。
介護福祉士になるには、受験資格を得て国家試験に合格する必要があります。
【介護福祉士になるまでの流れ】
1. 受験資格を得る
2. 介護福祉士国家試験に合格する
3. 免許登録を行う
介護福祉士国家試験は誰でも受けられるわけではありません。
受験するには、文部科学大臣および厚生労働大臣指定の養成機関を卒業する、または規定の実務経験を経るなど、受験資格を満たす必要があります。
国家試験合格後は、社会福祉振興・試験センターに必要書類を郵送し、免許登録を申請しましょう。
不備がなければ、申請から1カ月程度で登録証が交付され、介護福祉士を名乗れるようになります。
介護福祉士国家試験の受験資格を得るには、以下4つの方法があります。
上記①~④いずれかのルートで受験資格を得て試験に合格すると、介護福祉士になれます。
「働きながら介護福祉士を目指したい」「養成施設で集中して学びたい」など、自分の希望やライフスタイルに合う方法を選択しましょう。
「養成施設などに通わず、現場で働きながら資格取得を目指したい」という社会人には【実務経験ルート】がおすすめです。
介護業務等の実務経験を積み、以下どちらかの条件を満たすと受験資格が得られます。
1. 従業期間3年(1095日)以上かつ従事日数540日以上で、実務者研修を修了している
2. 従業期間3年(1095日)以上かつ従事日数540日以上で、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を修了している
従業期間は実務経験の対象となる施設および職種での在職期間を指し、産休・育休などの休職期間も含まれます。
従事日数は実際に業務に従事した日数を指し、欠勤や休暇、研修等で介護業務を行わなかった日はカウントされません。
なお、2.に記載のある介護職員基礎研修は2012年度末に廃止されました。
これから新たに研修を受けて受験資格を得る場合は、実務者研修の受講が必須です。
実務経験にカウントできる施設および職種の例は、以下の通りです。
〈高齢者分野〉
対象事業・施設 | 対象職種 |
特別養護老人ホーム、指定介護老人福祉施設、指定特定施設入居者生活介護、サービス付き高齢者向け住宅、指定通所介護、指定介護予防通所介護、指定通所リハビリテーション、指定短期入所療養介護、老人デイサービスセンター、養護老人ホーム など | ●介護職員 ●介護従事者 ●介助員 ●支援員(養護老人ホームのみ) など |
指定訪問介護、指定介護予防訪問介護、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護、指定夜間対応型訪問介護、第1号訪問事業 | ●訪問介護員 ●ホームヘルパー(サービス提供責任者としての業務は対象外) |
指定訪問看護、指定介護予防訪問看護 | ●看護補助者 ●看護助手など |
〈障害者分野〉
対象事業・施設 | 対象職種 |
障害者デイサービス事業(2006年9月までの事業)、障碍者支援施設、短期入所、生活介護、療養介護、児童デイサービス、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活介護(ケアホーム)、共同生活援助(グループホーム)、福祉ホーム、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業、訪問入浴サービス、地域活動支援センター、知的障害者援護施設、身体障害者更生援護施設、精神障害者社会復帰施設 など | ●介護職員 ●介助員(盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業) ●寮母 ●保育士、生活支援員、指導員、精神障害者社会復帰指導員、世話人などで特定のルールを満たす方 |
〈児童分野〉
対象事業・施設 | 対象職種 |
知的障害児施設、知的障害児通園施設、自閉症児施設、盲児施設、ろうあ児施設、放課後等デイサービス、児童発達支援、児童発達支援センター、障害児入所施設、指定発達支援医療機関 など | ●保育士 ●介助員 ●看護助手 ●看護補助者 ●指導員、児童指導員、障害福祉サービス経験者などで特定のルールを満たす方 |
保育所等訪問支援、居宅訪問型児童発達支援 | ●訪問支援員 |
〈その他の分野〉
対象事業・施設 | 対象職種 |
救護施設、更生施設 | ●介護職員 ●介助員 |
地域福祉センター、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園、隣保館デイサービス事業、労災特別介護施設、原子爆弾被爆者養護ホーム、ハンセン病療養所 など | ●介護職員 ●介護員 ●介助員 ●看護助手 ●看護補助者 |
原爆被爆者家庭奉仕員派遣事業 | ●原爆被爆者家庭奉仕員 |
家政婦紹介所(個人の家庭で介護等の業務を行う場合のみ) | ●家政婦 |
訪問看護事業(健康保険法第88条第1項に規定の事業) | ●看護助手 ●看護補助者 |
病院、診療所 | ●介護職員 ●看護助手 ●看護補助者 |
〈介護などの便宜を供与する事業〉
対象事業・施設 | 対象職種 |
地方公共団体が定める条例・実施要綱等に基づく事業、介護保険法の基準該当居宅・介護予防サービス(指定事業所以外)、障害者総合支援法の基準該当障害福祉サービス(指定事業所以外) など | ●介護職員 ●訪問介護員 |
介護等の業務と他の職種を兼務している場合、介護等の業務が主であれば受験資格として認められます。
また、施設長や事業所の長が対象業務と兼務している場合は、介護等の業務に従事した日数のみ実務経験にカウントできます。
以下のように「介護等の業務が主ではない」と判断される職種は、実務経験の対象外になるため注意しましょう。
■運営要網や人員配置基準などで、主な業務が介護等の業務だと認められない職種
医師、看護師、准看護師、生活相談員、支援相談員、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、介護支援専門員、福祉用具専門相談員、就労支援員、事務員、栄養士、調理師 など
■主な業務が介護等の業務でないことが明確な職種
運転手、清掃員、用務員、警備員、あん摩マッサージ指圧師 など
【養成施設ルート】の場合、文部科学大臣および厚生労働大臣の指定した学校や、都道府県知事が指定した養成施設を卒業すると、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
養成施設の通学年数は、以下の通りです。
●高等学校卒業者→2年以上
●福祉系大学、社会福祉養成施設、保育士養成施設等の卒業者→1年以上
【福祉系高校ルート】の場合、福祉系高校で規定の教科目・単位数を修めると、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
ただし特例高校の場合は、卒業後9カ月以上の介護等の実務経験も必要です。
また、原則2008年度以前の福祉系高校入学者と特例高校の入学者は、試験に合格するだけでは介護福祉士の登録ができません。
「介護過程Ⅲ」を受講し、登録申請時に「介護過程Ⅲ修了証明書」を提出する必要があります。
【EPA(経済連携協定)ルート】は「EPA介護福祉士候補者」を対象とする受験ルートです。
「EPA介護福祉士候補者」とは、日本の特定の受け入れ施設で働きながら介護福祉士の取得を目指すインドネシア人、フィリピン人、ベトナム人のことを言います。
介護等の実務経験を3年以上(従業期間3年以上かつ従業日数540日以上)積むと介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
介護福祉士国家試験を受験するにあたり、日程や試験会場などの概要を押さえておきましょう。
受験申込:8月上旬〜9月上旬
試験日 :1月下旬
合格発表:3月下旬
介護福祉士の試験は年に1回で、例年の日程は上記の通り。北海道から沖縄まで全国各地の試験会場で実施されます。
第37回(2024年度)介護福祉士国家試験の概要は以下の通りです。
申込期間 | 2024年8月7日(水)~9月6日(金) |
試験日 | 2025年1月26日(日) |
合格発表 | 2025年3月24日(月)14時 |
試験地 | 35試験地 |
受験費用 | 18,380円 |
2023年度(第36回)介護福祉士国家試験の合格率は、82.8%でした。
第1回~36回までの平均合格率は58.1%となっていますが、これは過去の合格率が低かったためです。
第24回以降は60%以上の合格が目立つようになり、直近5年間の結果を見ると70~80%前後で推移しています。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
69.9% | 71.0% | 72.3% | 84.3% | 82.8% |
出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」
試験の出題形式は五肢択一式で、記述問題はありません。
一定数不合格になる方もいるため「簡単すぎる」とは言えませんが、しっかり対策すれば難易度はそこまで高くないでしょう。
試験の合格基準は、以下の通りです。
1. 総得点の60%以上の点数を得ること(問題の難易度によって補正あり)
2. 「1」の条件を満たしたうえで、試験科目11科目群すべてで得点があること
総得点は125点のため、75点が合格ラインの目安となります。ただしその年の難易度に応じて合格点は上下するため、余裕を持った得点を目指しましょう。
また、2025年度(第38回)試験より「パート合格」の仕組みが導入されます。
試験科目が3つのパートに分割され、受験初年度に合格できなかった場合、次年度は不合格だったパートのみ受験できるという制度です。
合格したパートの有効期限は翌々年までですが、この間苦手分野に絞って勉強でき、合格を目指しやすくなるでしょう。
「介護福祉士になりたい」と考えたとき、以下の疑問が浮かぶこともあるでしょう。
ここでは、上記の質問にわかりやすく回答します。
ホームヘルパー2級は、2012年度末に廃止された資格です。2013年4月、介護保険法改正に伴い「介護職員初任者研修」へ移行されました。
ヘルパー2級を持っている方が介護福祉士になるには、以下のステップで国家試験に合格する必要があります。
・介護福祉士実務者研修を修了する
・介護の実務経験を3年以上積む
・介護福祉士国家試験に合格する
ヘルパー2級から介護福祉士を目指す場合、まずは介護福祉士実務者研修を修了しましょう。
介護福祉士実務者研修は計450時間のカリキュラムで構成されていますが、保有資格によって一部科目の受講が免除されます。
ヘルパー2級取得者の場合は130時間分の科目が免除されるため、無資格者に比べて短期間での修了が可能です。
必要な実務経験を積んで受験資格を満たしたら、国家試験合格を目指しましょう。
無資格・未経験者の場合、介護福祉士になるには最短でも1~2年かかります。
最短で国家試験の受験資格が得られるのは【養成施設ルート】です。
高等学校卒業後、介護福祉士養成施設に2年(福祉系大学等の卒業者は1年)以上通って卒業すると、受験資格を満たせます。
介護福祉士への最短ルートは個々の状況や経験により変わるため、自分に合うルートで受験資格を得て、試験合格を目指しましょう。
社会人が働きながら介護福祉士になるには、【実務経験ルート】 で国家試験合格を目指すのが一般的です。
実務経験ルートで受験資格を得るには、仕事と並行して介護福祉士実務者研修を修了する必要があります。
そのため、研修受講を後押ししてくれる職場だと、より受験までのステップをスムーズに進めやすくなるでしょう。
資格取得支援制度を設けている職場の場合、シフトや費用の面でサポートしてもらえる可能性が高いです。
これから転職して「介護福祉士を目指したい」と考えている方は、ぜひ資格取得支援制度の整った施設や事業所をチェックしてみてください。
介護福祉士になるには、国家試験を受けて合格する必要があります。
受験資格を得る方法は4種類あるため、自分のスキルやライフスタイルに合うルートを選んで準備しましょう。
2025年度(第38回)からはパート合格が導入されるため、試験概要をしっかり理解しておくことも大切です。
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