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甲野陽紀
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2013年11月06日

メンタルは大事にしすぎてもよくない? | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

profile-1こんにちは、身体技法研究家の甲野陽紀です。「質問」というやりとりができる関係というのはいいですよね。質問したいと思うのは、相手に関心があるからですし、質問を受けた方もそれによって深くものごとを考えることができます。お互いに新しい何かを得るきっかけとして「質問」というワザが登場する!-----ということで、今回から数回にわたって、みなさんからいただいているさまざまな質問にお答えする特別編「 日々是考える相談室 part1」をお届けします!
<協力 身体技法研究家 甲野陽紀氏/文・構成 佐藤大成>




甲野陽紀さんの日々是介護術34_1

タ 今回はみなさんからの質問にお答えするということですが。正確にいうと、質問の答えを一緒に考えてみる、ということになりそうですけどね。

陽 それがいいですね。答えもまた変化していくものだと思うので。

タ それが日々是流でもありますよね。さて、質問はずいぶんたくさんいただいているので迷うところですが、まずはわたし自身、興味あるところからということで、こんな質問です。これは男性の方のようですね。

———

質問「気になるワザがいろいろあって自分でも試しているんですが、気持ちの持ち方でカラダは変わってくるんだということをなんとなく実感しています。つまり、カラダの使い方にはメンタルが大事ということなのかなあ、と思ったりするのですがどうなんでしょうか?」

———

陽 はい、同じような質問はふだんの講習会のときにもいただくことがありますので、そう聞きたくなる“気持ち”はよくわかります(笑)。メンタルが大事かどうか、そう聞かれれば、たしかに大事なことですよ、とお答えはするのですが------

タ それだけではない?

陽 大事だからといって、気持ちだけ先行させても、思いを深くこめすぎても、うまくいかないことがじつは多いんですよね。

タ そのことは前回までの「思う」と「感じる」の稽古のときにぼくも実感しました。

陽 大事にはするけれど重きを置きすぎない、というそのへんの感覚をわたしはよく「気にかける程度でいいですよ」と表現しています。



甲野陽紀さんの日々是介護術34_2

タ 「気にかける」は陽紀先生らしい、キーになる言い回しですよね。目の前にどんと置かないで、目の端でとらえておく、という感じかなあとぼくは思っているんですが。

陽 そうですね。もう少しいうと「目の端でとらえたものを、ずっととらえ続けていく」感じがより近いかもしれないですね。

タ そいつを熱心に凝視するようなことはしないけれど、自分の関心の外には置かない、と。

陽 人間関係に置き換えていうと、学校や職場でも自分をさりげなく見ていてくれる先輩や上司がいるというのは、気持ちがいいものですよね。過剰に干渉はしないけれど、何かあったら助けるよ、という無言のメッセージが伝わってくると、こちらも“よし、がんばろう!”とか思いますよね。カラダもそんな感じに思ってくれるのかもしれないですね。



タ なるほど。そういう環境だと、のびのび動けますからね。だから、結果もついてくる、と。

陽 そういう面はあると思います。カラダというのは自分がどうしたら心地よく動けるかということを、じつはよく知っていると思うんですね。ところが、さまざまな習慣とか、気持ちのありようとかいろいろな要素がカラダの動き方をしばってしまい、その結果、本来の動きやすい動き方を見失ってしまう……ということも多いような気がするんです。

タ それはわかります。陽紀先生と稽古をして、自分はなんてヘンな考えにとらわれていたんだろう、と思うことはしょっちゅうですから。

陽 そこに気がつくというのは楽しいことですよね?(笑) そういう意味では稽古は、そうした縛りをいったん解いて、本来の動きやすい動きをもう一回“発見”することなんだ、といってもいいかもしれないですね。

タ それは、いい定義ですね!

陽 そのときに------縛りを解いて自分自身の本来のカラダと動き方を再発見しようとするときに、メンタルという意識、気持ちの力を借りることが必要になるんですけれど、人が本来の動きをしているときはじつはメンタルは強すぎず弱すぎず、さっきのたとえでいうと、見守る程度に働いているんですよね。

タ ははー、そういうことなんですね。メンタルを大事にしすぎると、本来の動きとはやっぱり違ってくるんですねえ……

陽 ふだんの生活で考えても、何気なくすることはとても正確で強さがあったりしますよね。水の入ったコップを5個も10個もトレイに乗せて平気で運べたり。

タ 逆に、こぼさないようにと慎重になった途端に、緊張してこぼしたりしますもんね(笑)

陽 はい(笑)。「何気なく」は「何も考えていない」わけではなくて、目の端でとらえ続けているように考えている状態なんだ、ということです。その微妙なメンタルの陰影を稽古を通じて敏感に感じ取れるようになってくると、おのずとカラダの動きが変わってくるということだと思うんです。

タ それが日々是介護術の目指すところでもあるんですよね! ということで、次の質問です。「ふだん、どういうふうに練習をしたらいいのでしょうか?」にいきたいのですが------あっ! 時間がきてしまいました……

陽 はい(笑)。それはとてもいい質問なので、次回じっくりと検討しましょう!




◆ Profile ◆
甲野陽紀(こうの•はるのり)
プロフィール
身体技法研究家。東京•多摩市生まれ。高校卒業後、「古武術介護」の提案者としても知られる武術研究家の父、甲野善紀氏の補佐役として各地の講習会などに同行する中で、ささいな動きの違いから感覚がさまざまに変わっていくカラダの不思議さ、奥深さを改めて実感し、特定の方法やジャンルによらない独自の視点からの身体技法の研究を始める。見る、触れる、曲げる、といった、わたしたちが日々、何気なく行っている動作からカラダを見つめ直すことで新しい感覚が生まれていく“発見の体験”は、多くの方の共感を呼び、全国各地の講習会、講演会などで活躍中。スポーツや武術、音楽、医療、介護、運動嫌いの方のための身体講座まで、講座のテーマは幅広く開かれており、ファン層も多彩。都内では、朝日カルチャーセンター新宿•湘南、よみうりカルチャー自由が丘などで定期的に講習会を開催している。日々のくわしい活動はオフィシャルウエブサイトへ。
http://hkhp.p2.bindsite.jp/index.html

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