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2019年08月30日

『わたしのお婆ちゃん 認知症の祖母との暮らし』 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」


■書名:わたしのお婆ちゃん 認知症の祖母との暮らし
■著者:ニコ・ニコルソン
■出版社:講談社
■発行年月:2018年6月

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認知症の祖母を身近に見てきた著者が描くコミックで、家族の気持ちを知ろう

マンガ家の著者ニコが、アルツハイマー型認知症の祖母と過ごす日々を描いた実話コミック。
少しずつ進んでいく祖母の認知症の症状や、当初、1人で世話をしていた母の暮らしぶり、孫娘として愛情深く関わろうと努める著者の様子など、重い内容でありながら自然に心に届くのは、コミックならではの効果だろう。

介護職の立場で読むならば、利用者本人や在宅介護をする家族の気持ちを理解するのに役立つはずだ。
介護の専門的な知識のない一般の人々が、どのような気持ちでどのように認知症と向き合っているのか、言葉だけで説明されるよりわかりやすい。

優しいタッチのイラストだが、内容はリアルで深刻。
幼いころから母親のように自分を育ててくれた祖母への著者の愛情は深く強い。そのためにかえって、変わっていく祖母をなかなか受け入れることができない。
また、祖母の認知症の症状は時に激烈だ。母は、介護疲れから一緒に死にたいとつぶやく。
そうした介護家族のすべてが、とても率直に表現されている。

要所要所で著者ニコの気持ちは言葉でも表され、そこからも家族としての飾らない気持ちを知ることができる。
祖母の症状が進み、孫の自分の顔もわからなかった時のショックは大きかったそうだ。
<婆は 色々なことがわからなくなっていく 今が何時でここがどこなのか 目の前の孫の顔も 自分自身のことさえも… 婆は その時々で 私のことがわかったり わかんなかったりで 症状は目に見えて悪化していて… 私は思っていた以上に動揺して 震災の時も落とさなかった原稿を初めて落とした>
母との二人三脚で介護する日々にも限界がきて、ついに祖母を介護施設に入所させることにした後も、良心の呵責に苦しむ姿が浮かび上がる。
<ごめんよ婆 あんなに可愛がってもらったのに 勝手な孫だよ ごめんよ 母ルだって婆ルのために建てなおしたあの家で面倒を見たかったはず 家族で幸せに過ごさなきゃいけなかったのに>
著者が認知症について本を読んで知識を得るようになったのは、祖母が施設に入って1カ月が過ぎてからだった。それまでは祖母の奇行に対応するのに手一杯だったのだから無理もない。

知識を学び始めて以後の著者と母は、相変わらず悩みながら、それでも祖母と笑顔でいられる時間を楽しむようになっていく。
<病気の婆と病気じゃない婆 (中略) 私の大好きだったあの婆はどっちだったのか きっとそこに境目なんかなくて だからこそ苦しくて 全て 全て ひっくるめてわたしのお婆ちゃん>
最愛の祖母を介護するなかで、苦しみながらたどりついた境地だ。
最後の「婆が忘れても私は覚えている」という言葉も愛にあふれている。切なく悲しい思いも共有しながら最後まで読めてしまうのは、コミックの力にちがいない。
高齢者本人や介護家族に寄り添う介護職にこそ、読んで欲しい1冊だ。


著者プロフィール(引用)

ニコ・ニコルソン(にこ・にこるそん)さん
宮城県出身。マンガ家。2008年『上京さん』(ソニー・マガジンズ)でデビュー。2013年『ナガサレール イエタテール』(太田出版)が第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員会推薦作品に選ばれる。(「BOOK著者紹介情報」より)

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