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2014年07月31日

GPSは本当に徘徊事故防止に有効か? | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

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車のナビでも携帯電話にも利用されている GPS(衛星利用測位システム)。この仕組みを高齢者の徘徊事故防止に役立てようとする試みが一般的に行なわれるようになってきた(写真はイメージです)

介護の最新ニュースをネットでの反響を交えてわかりやすく解説する“クローズアップ介護ニュース”。ただ読んでいるだけではわかりにくい時事テーマのポイントを絞ってお伝えします。

今週のテーマは「徘徊による行方不明•事故予防対策とGPS」です。

参考:徘徊高齢者にGPS 小山市、介護家族らに貸与 栃木
出典_2014.7.10 msn 産経ニュース 他






「徘徊による行方不明•事故予防対策」にGPSを利用する試み

7月10日の産経ニュースが伝えたのは栃木県小山市の試み。「認知症を徘徊の恐れがある65歳以上の高齢者を早期に発見するため、GPS(衛星利用測位システム)機能付きの位置探索機器の貸し出し事業を始めた」というもの。

貸し出し事業の対象者は…在宅介護をする家族や支援者。

貸与事業の内容は…位置探索機器(税別5千円)と充電器(同2千円)の買い取り費用を小山市が全額負担。ただし、利用料は有料。

同事業の狙いと小山市の事情は…徘徊による行方不明や事故の防止とあわせて、認知症の徘徊行動に悩まされている介護者を支援することが主な目的。同ニュースでは「小山市高齢生きがい課によると、日常生活に支障をきたすような症状が見られる認知症の人は市内に3494人(2014年4月1日現在)おり、うち徘徊行動が見られる人は167人」と伝えています。

介徘徊による事故が深刻化。同じようなGPS利用促進事業は他の自治体でも

高齢者の徘徊が招く行方不明や事故は最近、しばしば報道されています。

徘徊事故が裁判に問われるケースも…今年の5月には徘徊中に列車にはねられた事故で賠償責任を問われた家族に360万円の支払いを命ずる高裁判決が出され、全国的な注目を浴びました(by msnニュース)。

徘徊の見守り責任を家族に厳しく求める姿勢がうかがえる判決に、同ニュースでは「認知症はもはや社会問題である。65歳以上の7人に1人、約462万人が認知症といわれ、厚生労働省推計では同規模で認知症予備軍の患者が存在する。施設はとても足りていない。警察庁資料では、認知症が原因で行方不明になった届け出は年間9607人(平成24年)。359人が事故に巻き込まれるなどして死亡した」と、徘徊事故の責任は広く社会が追うべきという論調で批判をしていますが、同じような声は、識者や介護をする家族、介護の現場で働くプロからも聞こえてきます。

徘徊による事故防止策のひとつとしてGPSが浮上…徘徊による行方不明や事故が増え、裁判にも問われる社会問題化した現状を背景として、その防止策のひとつとして浮上したのがGPSの利用。個人での利用とは別に、小山市と同じように、認知症の家族を介護する家庭にGPSを貸与する自治体が増えています。

GPSの効果と問題点は?

365日24時間の対応力と高い探索力…GPSの一般的な見守りシステムは「24時間、365日、対応可能」「要請があれば専門スタッフが現場に急行」というもの(参考/徘徊事故防止用GPS事業の大手サイト)。
センサーの信号をキャッチするための状態がよければ5~10mの範囲で探索が可能ともいわれる精度の高さもうたわれ、「GPSをもっていたおかげで比較的短時間に見つかってよかった」という利用者の体験談は、ネット内からも聞こえます。

持ち歩かなければ力が発揮できないなど弱点も…一方で、GPSは持っているときしか力を発揮しない弱点をもっていることも指摘されています。「自宅で療養している人は動けるから自宅にいる。GPSをいつももち歩くようにしてもらうこと自体が困難」「こっそり充電するのも大変なこと」という声が多く聞かれることからもわかるように、介護する家族にとっては「GPSさえあれば安心とはいえない」ようです。

プライバシー保護はどうなる?…自治体がGPS利用にかかわる場合、「プライバシーの保護」が損なわれるのではないか、という事故防止とは異なる観点からの危惧も寄せられています。
このテーマについては雑誌『ニューズウイーク』日本版がアメリカの事情をリポートしています。個人情報を大切には守りたいが、この問題に関しては事故防止が優先であり致し方がないかな、という市民の声が紹介されています。

事故防止のためにはGPSだけに頼らないこと

こうしたGPSの長所、弱点を知る立場から、GPSに一定の役割は評価を与えながらも、徘徊による事故防止対策はGPSだけでなく多角的に取り組むべき、という声もあります。

認知症の徘徊者の早期発見に取り組んでいるあるNPOでは、認知症の人が外出する際には履物を履いて出かけるケースが多いことから、履物のかかと部分に、自転車と同じような蛍光色の反射するステッカーをはり、そこに連絡先などを記入しておく方法を提案しています。

昨年12月にNHKで放送された番組「認知症800万人 徘徊事故をどう防ぐ」では、先に触れた鉄道事故裁判のことにも触れたうえで、全国の自治体の取り組みについても紹介しています。町ぐるみでこの問題に取り組んでいる福岡の大牟田市では、毎年開催されている徘徊SOSネットワーク訓練の中で、「市民2000人が参加してのGPS捜索体験や声がけの訓練」などが行なわれているそうです。

こうしてさまざまな取り組みが全国規模で展開されはじめた徘徊事故防止問題。本コラムでは今後も随時、取り上げていく予定です。

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