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医療と介護の連携

2017年11月30日

介護職と医療職の連携がうまくいかないのはなぜ? | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

「地域包括ケア」の時代、医療と介護の連携の大切さがよく言われます。
確かに、1人の利用者に関わる関係者が情報を共有し、それぞれの強みを活かしながら役割分担して支えていく体制ができれば、それに越したことはありません。
しかし、連携は思うように進んでいません。
なぜでしょうか。


介護と医療では、利用者への考え方が違う

一つには、介護と医療では、関心を持つポイントがそれぞれ違うからです。
生活を守る視点で利用者を見る介護と、命を守る視点で患者を見る医療。見ているポイントが違うため、時には判断も違ってきます。

たとえば、余命幾ばくもない利用者が、大好きなお風呂にもう一度入りたいと希望したとき。
医療職は、入浴した場合のリスクを考慮し、入浴の可否を判断します。
本人や家族が希望しても、医療職としてはこの状態での入浴は命に関わるので勧められません、と伝えることもあるでしょう。

一方、介護職は、体調だけでなく、どれほど本人のお風呂に入りたいという気持ちが強いかも大いに考慮します。
本人や家族が、たとえそれで命にかかわることになっても、最後にお風呂に入りたい、入れてあげたいと望めば、何とかそれをかなえようとするでしょう。

このようにお互いの考えが異なれば、介護と医療は意見がぶつかることになるかもしれません。


介護職と医療職ではテンポも違う

また、ある病院のメディカルソーシャルワーカー(医療相談員)は、医療と介護の「テンポの違い」を指摘します。

たくさんの患者を分刻みで診療していくことが求められる医師は、判断材料となるデータや情報を短時間で把握し、決断を下していくことが身についています。
一方、生活を見つめる介護職は、物事のとらえ方も情緒的、物語的で、ゆったりとしたテンポになりがちです。

このため、中には医師が求める情報を要領よく伝えるのが苦手な介護職もいます。
たとえば、最近、食欲が落ちている認知症を持つ利用者に、介護職が付き添って受診したとき。
どうしたのかと尋ねる医師に対して、「前にはあきれるほど食べていたのに、なかなか箸が進まないんですよ。最近はいつも食べ残すので、家族も心配していて…」という漠然とした話を長々としていては、医師は困ります。

医師が知りたいのは、1日の摂取エネルギー量がどれぐらいで、どれぐらいの期間で何kg体重が減っているか、食欲が落ちる原因の心当たりはあるか、といったことです。

「以前は、若者向けの食堂の定食ぐらい食べていた。それが、1ヶ月ほど前からがくんと食欲が落ちて、それまでの1/3程度しか食べなくなった。体重は、1ヶ月前と比べると5kg減っている。
頼りにしていた息子が転勤で地方に行ってしまったのがきっかけのようだ」

このように、医師が求める情報をテンポよく、コンパクトに伝えられれば、スムーズなやりとりができるようになるでしょう。


互いに「理解・配慮」が不足していることが原因

医師との連携を得意とする、あるケアマネジャーは、介護職には医師の持つ専門性への理解、配慮が不足している人がいることを指摘しています。
特にしばしば問題になるのが、薬の処方への介入です。医師はこれを非常に嫌がります。

利用者から、新しく処方された薬が合わないという話を聞かされ、「薬を変えてもらったら?」とうっかり言ってしまう。
言ったケアマネジャーやヘルパーは、医師の処方に介入している気持ちはないと思います。
しかしこれが、「ケアマネジャー(ヘルパー)から、『薬を変えてもらったら』といわれたんですけど…」という形で医師の耳に入ると、医師は「介入された」、もっと言えば、「自分の処方にケチをつけられた」と感じる場合があります。
これで、医師との間でトラブルになってしまうこともあります。

薬の処方には、医師同士であっても、基本的には介入しないといいます。処方は個々の医師にとって、プライドをかけた専権事項だからです。
そもそも医師は、6年をかけて学んできた医師としての専門性にプライドを持っています。そのため、医学を学んでいない者が、安易に口を挟んでくることをとても嫌がるのです。
介護職もそれを十分理解し、医師の専門性に配慮した対応を心がけることが必要でしょう。

一方、医師の方も、介護職の専門性への配慮が不足している場合がしばしばあります。
生活の視点から、考慮してほしい情報を伝えても、まったく耳を貸そうとしない医師もいます。こうした医師には、それでも諦めずに考慮してほしい情報を伝え続けることです。
知っておいてほしい情報と医師が知りたがっている情報とを結びつけて伝えると、耳を傾けてくれるかもしれません。

医療職と介護職は、まったく異なる教育体系の中で育ってきており、考え方や視点が違うのは当然のことです。
それを理解した上で、「利用者・患者のために」という共通項を意識して、連携できるポイントを探していければと思います。

<文:宮下公美子 (社会福祉士・臨床心理士・介護福祉ライター)>

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