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要注目!介護の最新事情

日本の介護サービスが、高齢化が進む中国への進出で苦戦する理由とは?

2018年10月11日

日本の介護サービス企業が続々と中国に進出

日本、韓国、シンガポールに続く速さで高齢化が進む中国。
高齢化率が7%から倍の14%になるまでの年数は、日本が24年だったのに対し、中国は23年と推計されています。

約14億人の国民を抱える中国が、今後、急速に高齢化していくと、23年後には2億人に迫る高齢者が中国に存在することになります。
このとてつもない人数の高齢者介護マーケットを目指して、今、日本の介護サービス企業の中国進出が相次いでいます(*)。

■アジア諸国の高齢化率の推移

出典:内閣府「平成30年版高齢社会白書」

中国では、2016年から試験的に一部の地域で介護保険制度の導入が始まっています。
日本の介護保険制度とは異なり、中国の介護保険制度での認定は、基本的に重度要介護者のみの1段階(上海市以外)。つまり、認定するかしないかのどちらかだけです。
医療制度の延長線上に設けられている制度であるため、介護サービス利用開始年齢の規定はありません。加入できる最低年齢は16歳となっているのも、日本とは大きく違うところです。

中国では、試験的な導入を経て、介護保険制度を2020年までに全国的に導入する計画です。
そうしたこともあり、中国に進出する日本の介護サービス企業が増えているのです。

■日本の介護サービス企業の今後の中国進出予定

ニチイ学館(東京都) 2018年12月に大連で20床規模の介護施設を開設予定。2019年5月に北京で200床規模の介護施設を開設予定。
ロングライフホールディング(大阪府) 2020年に青島で約3000床規模の介護施設を着工し、2025年完成予定。
メディカル・ケア・サービス(埼玉県) 2018年10月に天津で認知症に特化した介護施設を開設予定。

*日本経済新聞記事より抜粋し、筆者作成

 

評価の高い「日本式介護」が中国進出で苦戦する理由

アジア各国からの視察者も多く、評価の高い日本式介護。中国でもさぞや高い評価を受け、順調な事業運営をしている介護サービス企業が多いと思いきや、苦戦を伝える声が少なくありません。

その理由として挙げられるのは、日本式介護の導入以前に以下の2点があります。
1.介護に対する考え方の違い
2.現地スタッフ教育の難しさ

1.介護に対する考え方の違い
考え方の違いとして、まず中国では、高齢者の介護は家族が担うのが基本だということです。
介護保険制度開始前の日本同様、在宅の介護サービスを利用したり、介護施設に入所させたりすることへの抵抗感が、まだ大きいのです。

このため、訪問介護を提供している日系企業がなかなか黒字化しなかったり、開設した介護施設の入居率が上がらなかったりしています。

もう一つには、中国では「至れり尽くせり」の介護サービスを求めていることです。
できることを自分でしてもらうことで、その人なりの自立を目指す「自立支援」の考え方は、中国では一般的ではありません。

入所施設では、できる限りの手厚いサービスが求められる一方で、日本と比べるとかなり少ない人数で介護を担います。現状の中国で求められているのは、少ない職員数で大量の入所者の介護を「さばいていく」ためのノウハウです。
中国の介護施設では、電動車椅子が数多く用いられていると言います。それだけ省力化に注力しているのです。日本式介護をそのまま中国に持ち込んでも、うまくいかないのが実情なのです。

2.現地スタッフ教育の難しさ
同じアジア人とは言え、日本人と中国人では生活習慣も考え方も違います。このため、「サービス」のとらえ方も日中では違いがあります。
中国に進出したコンビニエンスストアチェーンでは、現地スタッフに笑顔での接客を身につけさせるのに、苦労をしたという話があります。「お客には笑顔で接するもの」という商習慣がない人たちに対して、そもそもなぜ笑顔で接する必要があるかを納得させるのは、難しかったことでしょう。

同様に、生活習慣、考え方の異なる中国人介護スタッフに、日本式のやり方をただ教え込もうとしても容易ではありません。居室清掃一つをとっても、中国と日本では、「清潔」や「きれい」の認識には違いがあります。

ある介護サービス企業では、中国人スタッフに日本人と同様の居室清掃のやり方を身につけさせるため、部屋の半分を中国人スタッフに、残り半分を日本人スタッフにさせて、その違いを見せていたと言います。
「きれいにする」という認識のあまりの違いに、口頭での指導に限界を感じ、そうした方法を採ったのだそうです。

このほかにも、日本の介護サービス企業の苦戦の理由として、日中の商習慣の違いなどもあります。そうしたことを踏まえ、中国進出を検討しながらも慎重に構えている、日本の介護サービス企業もあります。

それでもやはり、2億人の高齢者を抱えることになる中国は、魅力的な市場であることは間違いありません。
10年後、20年後、日本式介護はどれだけ中国に浸透することになるのか。これからが正念場と言えそうです。

<文:宮下公美子 (社会福祉士・臨床心理士・介護福祉ライター)>

*介護 老いる中国に的(日本経済新聞 2018年9月20日)

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