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要注目!介護の最新事情

北海道で大型福祉仮設住宅の建設へ。介護職が被災経験から学ぶべき支援とは

2018年11月29日

北海道で日本初の大型福祉仮設住宅の整備が決定

2018年9月の北海道胆振東部地震で被災した厚真町・安平町の2つの町には、特別養護老人ホームが2カ所、障害者施設が1カ所ありました。被災後、合計約130人の入所者はバラバラの福祉施設に別れ、避難生活が続いています。

このほど、北海道は全入所者が入居できる大型の福祉仮設住宅を、2つの町それぞれに1カ所ずつ整備する方針を決定(*)。年内の入居開始を目指すとのことになりました。

全入所者が一緒に避難できる仮設住宅の整備は、全国で初めてのこと。
住環境の変化による心身への悪影響(リロケーションダメージ)に対する画期的な取り組みとのことです。

しかし、被災からすでに2ヶ月以上。新しい仮設住宅に入居できるのはさらにこれから1ヶ月先になります。

見知らぬ施設に避難して混乱していた人たちも、ようやく環境に慣れ、落ち着き始めているはず。元の仲間と一緒に入居できるとは言え、再び移動することは、もう一度リロケーションダメージを与えてしまうことにならないか心配です。

 

災害時の高齢者や障害者の支援のため、社会全体での知見の蓄積に期待

とはいうものの、施設入居者がまとめて避難できる環境を作る、という発想が出てきたことは喜ぶべきことです。

過去数十年を振り返ると、阪神・淡路大震災、東日本大震災などの大きな震災を経て、日本は様々な被災者への対応を少しずつ整えてきました。阪神・淡路大震災の時には、「リロケーションダメージ」という概念すらなかったのではないかと思います。
認知症を持つ人が環境の変化に弱いと知られるようになったのも、そう昔のことではありません。

大きな災害を経験するたびに、高齢者や障害者などの災害弱者の支援で失敗を繰り返し、失敗から学びながら、少しずつ知見が積み重ねられてきたのです。
そうした積み重ねがなくては、大規模な福祉仮設住宅を整備する発想は、生まれなかったのではないかと思います。

今回、大型仮設住宅を整備すれば、そこでまた新たな知見が積み重ねられます。うまくいったこと、不都合だったこと、気をつけるべきことなど、新たな気づきがたくさんあるでしょう。
そうした気づきをまた積み重ねることで、次の大きな災害の時には、発生直後に、大型仮設住宅を整備する決断ができるようになるかもしれません。

願わくば、経験から得た知見を、多くの自治体が共有できる形で蓄積してほしいものです。

 

“認知症を持つ高齢者”でも、地震への反応は様々

ところで、認知症を持つ人は、地震などの自然災害が発生したとき、どのような行動をとることが多いのでしょうか。

胆振東部地震で震度5強だった札幌市内のあるグループホームでは、夜中に地震があったというのに入居者たちは落ち着いたものだったと言います。
むしろ動揺していたのは、夜勤職員の方だったとか。

オロオロする職員を、入居者たちが「大丈夫だから」と励ましていたそうです。そしてそのうち、「また寝るわ」と言ってベッドに。中には、目を覚ますことすらなかった強者もいたそうです。
次の朝起きると、地震があったことなど忘れている人がほとんどだったとのことでした。たくましいものです。

もちろん、全ての高齢者が落ち着き払っていたわけではないでしょう。
しかし、様々な経験を経てきている高齢者は、認知症があってもどっしりと構えているものなのだなと感じました。

一方で、別の地震の折、別のグループホームでは、地震で建物等が倒壊した被害映像をテレビで見て大きなショックを受けていた入居者もいました。その入居者は、数週間にわたり、「地震が起きた」「怖い」と、繰り返し訴えていたとのことです。
これは、地震の映像を見たことによる「急性ストレス反応」の可能性があります。

地震に対する反応の、この違いは何でしょうか?

 

介護のプロだからこそ、「認知症だから」という色眼鏡には気をつけて

東日本大震災の時には、一般の人の中にも津波の映像を見て涙が止まらなくなったという人がいました。人は、その人の持つ脆弱性(もろい部分)に触れる出来事を経験したり、視覚や聴覚の刺激を受けたりすると、大きなショックを受けることがあります。
それが、地震の映像で「怖い」と訴え続けたグループホーム入居者のように、強いストレス反応を引き起こすこともあるのです。

逆に言うと、地震でショックを受けた入居者は、認知症を持つ人だから混乱し、強いストレス反応を示したとは限らないということです。
もともと持っているこの人の脆弱性が刺激され、ストレス反応が起きた可能性も大きいと言えます。

認知症を持つ人と相対すると、何か極端な反応、行動が見られたとき、「認知症だから」という色眼鏡で見てしまいがちです。
しかし実際には、極端な反応や行動は、様々な要因があって引き起こされます。

もしかすると、専門職であるからこそ、まず「認知症」を意識した目で見てしまうことがあるかもしれません。そうならないよう、介護職こそ、ニュートラルな目で認知症を持つ人を見つめることを心がけたいものです。

<文:宮下公美子 (社会福祉士・臨床心理士・介護福祉ライター)>

*北海道地震 道が「大型福祉仮設」 被災特養全員で入居(2018年11月11日)

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