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要注目!介護の最新事情

自己負担増、軽度者はずし、ケアプラン有料化…。介護保険制度改正のゆくえは?

2019年12月19日

介護費用が20年弱で約2.3倍に増加

2018年度、介護保険給付や自己負担を含む介護の費用が、初めて10兆円を超えました(*1)。これは厚生労働省が実施している「介護給付費等実態調査」によるもの。
この調査の初回(2000年度分)では約4兆3800億円だった介護費用が、20年弱で約2.3倍に膨れ上がっています。
今後さらに高齢化が進み、介護費用の増大が見込まれています。介護保険制度の持続可能性を不安視する声も少なくありません。

そこで現在、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会では次期改正に向けて、持続可能な制度の再構築のため、給付と負担についての検討が進められています。

本来であれば、制度の見直しは、利用者にとっての必要性や利便性から検討してほしいもの。
しかしこのところ、介護保険制度は財務省からの予算削減の圧力による仕組みの見直しが中心です。このため、介護職には違和感を覚える方も多いと思います。

無駄を省くことは必要ですが、必要な部分まで削減すれば、かえって要介護度を悪化させることになるとの指摘もあります。そうなれば、むしろ大きな歳出が必要になる可能性もあります。
利用者負担についても、どこまでのラインであれば「本当に必要なサービス利用」を妨げないのか、丁寧な検討が必要です。

介護職が肌で感じ、把握している利用者の生活実態について、国に意見を届けられる仕組みができないものかと思います。

 

次期介護保険制度改正の論点は?

現在、厚生労働省での検討課題として、下記の6点が挙げられています(*2)。

(1)ケアプラン有料化
(2)高額介護サービス費の上限額の引き上げ
(3)介護老人保健施設などの多床室への室料負担導入
(4)補足給付の対象の縮小
(5)軽度者への生活援助サービスの地域支援事業への移行
(6)利用者負担が2割や3割となる対象者の拡大

記事によれば、「(2)高額介護サービス費の上限額の引き上げ」「(4)補足給付の対象の縮小」は制度変更がほぼ確定しているとのことです。

介護サービス費が決められた限度額を超えると、払い戻しを受けられる「高額介護サービス費」。この「高額介護サービス費」については、すでに医療保険では2018年8月から70歳以上の負担限度額が年収によって細分化され、上限額が引き上げられています。
介護保険もこれに合わせる形で年収による細分化で上限が引き上げられる見込みです。

所得の多い層には医療保険同様の相応の負担を求めるという方向性に、介護保険部会でも異論は出なかったようです。

出典:社会保障審議会介護保険部会(第84回)参考資料3「制度の持続可能性の確保<参考資料>」(2019年10月28日)

(4)の施設入所の低所得者に対する食費や居住費の補助である「補足給付」については、2015年8月から、すでに一定以上の預貯金がある場合や配偶者が課税対象となっている場合などは対象外となっています。

今回は、給付対象者をさらに絞り込む見込み。
対象外となる預貯金額を、現在の「単身で1000万円以上」から引き下げ、500万円~1000万円の間で設定することになるようです。

これは、在宅で生活する高齢者はそもそも居住費や食費を自分で負担している中、施設入所者だけが補助を受けるのは不公平であることや、保険料を支払う現役世代との負担の公平性の観点から見直されることになったものです。

制度が改正されることになれば、所得も預金も多い高齢者にはダブルパンチです。所得が多い層には支出も多い人、つまり介護に使えるお金が端から見るより少ない世帯も中にはあります。
介護職はそうしたケースを見逃さず、利用者の生活にどのような影響が出るかをしっかり見つめていくことが大切です。

 

「軽度者はずし」へ反対の声が続出。見送られる方向に

その他、「(1)ケアプラン有料化」「(3)介護老人保健施設などの多床室への室料負担導入」「(6)利用者負担が2割や3割となる対象者の拡大」に関してはまだ結論が見えない状況。「(5)軽度者への生活援助サービスの地域支援事業への移行」については、見送られることになる模様です。

「(5)軽度者への生活援助サービスの地域支援事業への移行」は、「軽度者はずし」と言われ、利用者、介護職など様々な立場の人から、大きな反対の声が挙がっています。

生活援助サービスの利用で在宅生活を維持できている一人暮らしの要介護者などは、生活援助サービスがなくなることで、施設入所が必要になるケースも想定されます。要支援者対象の介護予防訪問介護や介護予防通所介護が、地域支援事業に移行された影響の検証もまだ十分ではない中、拙速に軽度者対象のサービスまで介護保険からはずすことへの反対が多いのは当然のことだとも言えます。

一方で、財源が限られている現状では、給付対象の絞り込み、重点化を進め、誰かに「泣いてもらう」のは避けられないのかもしれません。そうでなければ、財源を増やすために、現役世代にさらなる負担を求め「泣いてもらう」のか。八方丸く収まる魔法のような解決策はありえませんから、どこを落とし所とするのかは、非常に難しい選択だと思います。

次期介護保険制度改正まで、1年余り。
介護職の皆さんには、議論の行方について関心を持ち、見守っていてほしいと思います。

<文:介護福祉ライター・社会福祉士・公認心理師・臨床心理士 宮下公美子>

*1 介護費、初の10兆円超 18年度調査高齢化、利用者最多に(東京新聞 2019年11月29日)
*2 プラン有料化、“現実”の負担は?-介護保険部会で議論(ケアマネジメント・オンライン 2019年11月28日)

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