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2021年04月20日

LIFEのこれから 「データに基づく科学的介護」はじまりの年

LIFEのこれから 「データに基づく科学的介護」はじまりの年

科学的介護情報システム「LIFE」へのデータ提出とフィードバックを要件とする「科学的介護推進体制加算」が施設・通所・居住・多機能サービスに新設された。
さらに、アウトカム評価が導入された加算やリハビリや口腔、栄養に関する加算算定の要件にLIFEへのデータ提出が求められる。データに基づく科学的介護の推進が21年改定の目玉となっている。

アウトカム評価の推進「逆インセンティブ」解消も やる気を喚起「利用者へのフィードバック」

3月24日開催の介護給付費分科会では「介護保険制度におけるサービスの質の評価」の調査研究事業が報告され、「BMIが低い利用者の方がバーセルインデックス(以下「BI」)の合計点が低い傾向にあった」「要介護3~5でBI合計点が20点以下の割合が大きく増加した」「同一利用者の6カ月間での変化は、低栄養リスクレベルが悪化した利用者は約16%、BMIが1超低下した利用者は約23%」などが示された。

また、20年度に先行実施されたモデル事業に基づいて、今後、LIFEに情報提出した事業所が受けられるフィードバックのイメージを示した。

フィードバックは利用者にも

こうした情報を活用し、分析した結果を事業所、利用者に適した形でフィードバックする。国の例示に基づいて具体的に見てみる。

事業所に対してはたとえば、「同じサービス類型の全国平均の要介護度より低い傾向にあり、入所者のADLは良好。多くの入所者の食事は居室外でできている。しかし排泄の場所は日中・夜間ともにおむつ使用が多い。排泄の自立を目指すべきである」といった内容をデータ分析に基づいて提示。

利用者に対しては「80歳男性・要介護3でリハビリ1時間・週3回受けているが、全国平均と比べてADLの改善効果が乏しい。特に歩行距離の改善が見られない。低体重の状態が継続しているため、食事摂取量が少ないのではないか。リハビリと共に間食などによる食事摂取量の増量を推奨します」など本人の動機付けをする内容。

こうしたフィードバックは、加算算定の開始に伴い全国から膨大なデータ提出が予想され、ビッグデータの形成・解析が進むことで、一層の精度向上が期待される。データ収集項目は必須と各種加算算定に応じ 科学的介護推進体制加算算定でLIFEにデータ提出が求められるのは▽総論として「基本情報(性別、生年月日など)」「既往歴」「服薬情報」「BI」「障害高齢者の日常生活自立度」「認知症高齢者の日常生活自立度」など▽口腔・栄養として「身長」「体重」「低栄養状態のリスクレベル」「血清アルブミン値」「褥瘡の有無」「口腔の健康状態」「誤嚥性肺炎の既往歴等」など▽認知症として「認知症の既往歴等」「DBD13(認知症の周辺症状の指標)」「VI(意欲の指標)」――となっている。

また、自立支援促進加算には「自立支援促進の評価・支援計画書」、褥瘡マネジメント加算には「褥瘡対策のスクリーニング・ケア計画書」、排せつ支援加算には「排せつの状態のスクリーニング・支援計画書」など、それぞれに対応する様式の提出を求める。

エビデンス重視で進化する「LIFE」

こうしたデータ収集項目は、21年度以降も、指標の科学的な妥当性が確保された場などに追加することを想定している。最短で24年改定を視野に、国はアウトカム評価を幅広く介護保険に取り入れていくため、WHO(世界保健機構)で日本を中心に策定の進む、医療行為などの介入に関する国際的コード「ICHI」との連動も視野に入れている。

介護度を改善させれば事業所の売上が低下する「逆インセンティブ」が指摘されているが、こうした取り組みは改善が事業所評価になる転換の先駆けでもある。

合わせて介護の場は生活の場でもあることから、科学的介護のためのデータに基づいた取り組みと合わせて、幸福感や人生の満足感等も重視するため「利用者の社会参加」「食事の方法」「排泄の方法」「日中の過ごし方」「本人の意思の尊重」「本人の主体性を引き出すようなケアの提供方法」などについて、現場へのフィードバックも含めて引き続き検討を進める。

厳格な運用方針と猶予期間の設定

LIFEへの情報提出期日については厳格に運用される予定で、情報の提出ができなかった場合は、速やかに事実発生の届出提出が求められ「その月のサービス提供分から、情報の提出が再開した月の前月まで」の間は利用者全員に加算算定できない。

一方で、4月より加算算定を開始するためのデータ提出の締め切りが迫る中、厚労省は3月16日、科学的介護推進体制加算と褥瘡マネジメント加算、排せつ支援加算、栄養マネジメント強化加算に、大幅な猶予措置を設定することを通知した。猶予を受けることで、提出期限まではデータ提出がなくても加算算定を受けることができるとしている。

猶予の内容は▽科学的介護推進体制加算はデータ提出の期限を「21年4月から9月末日までに加算算定を開始する場合は、算定を開始しようとする月の5月後の月まで猶予」「21年10月から22年2月末日までに加算算定を開始する場合は、22年4月10日まで猶予」▽その他の加算については「22年4月10日までに提出することを可能とする猶予」――をそれぞれ設定する。猶予を受ける事業所は「猶予適用を必要とする理由と提出予定時期等を盛り込んだ計画を策定すること」が必要となる。

ただし、猶予期間終了日までにデータ提出できなかった場合は、期間中の加算返還が必要で「遡り過誤請求」を行うことになる。

こうした猶予の背景には、膨大な作業をできる限り軽減できるように、一気通貫のデータ収集・提出ができるICT機器の導入・活用を推進することを念頭に「地域医療介護総合確保基金」で75%以上の助成(助成率は都道府県による)を進めているが、業務支援システムメーカーへの問合せや導入・運用までに時間を要し、介護事業所が4月の加算算定開始に対応できないことも想定されている。

<シルバー産業新聞 2021年4月10日号>



 

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