毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「自治体のサービスをフル活用」という話題について紹介します。
偶然見つけた就職支援の広告。「介護の資格が無料で取れる」ってホント?
普段我々が払っている税金は、本来我々自身が快適に生活するために払っているもの。
税金と言うと、「取られている」という感覚がどうしても強いが、調べてみると自分にピッタリ合ったサービスも提供しているはずだ。
関東地方に住む介護職の女性・ノムラさんは、自治体が用意する制度をフルに活用して、快適な介護職ライフを送っている。
ノムラさんは小学生の子どもを持つ30代のシングルマザー。
介護業界に入る前に就いていたのはバイトや派遣社員など、不安定かつ収入の低い仕事ばかりだった。
そんな彼女が介護業界に関心を持ったきっかけは、偶然以外の何物でもないという。ノムラさんが振り返る。
「ある時、子どもを連れて実家に帰ったところ、父親が家庭菜園で作っている野菜を古新聞に包み、お土産として持たせてくれたのです。
自宅に帰って野菜の包みを開くと、包んでいた新聞に思わず目がいきました。
そこには、介護職の就職支援事業の広告がデカデカと載っていて、しかも、私が住んでいる自治体が運営している事業だったのです。
その広告には、介護の資格が無料で取得できること、資格取得後は就職サポートもあることなどが記されており、年齢などの条件を私はすべて満たしていました」
興味は持ったものの、「あまりにもおいしい話に思えて、にわかには信じられなかった」というノムラさん。
それでも主催しているのが自治体なら大丈夫だろうと思い、説明会に出かけると、信じられない光景が広がっていたそうだ。
自治体の手厚いサポートで介護職デビュー!
ノムラさんが、自治体が主催する就職支援事業の説明会会場に着くと、なんとそこにいたのはノムラさんたった1人だけ。
「『やっぱりサギだったんだ』と思いました(笑)。
後から聞くと、本当は予約が必要だったのですが、私はいきなり行ってしまったので、事前予約していた他の人に会わなかったのです。
スタッフが丁寧にいろいろと説明してくれたのですが、要約すると『無料で資格を取らせてあげるから、こちらが指定する事業所で働いて下さい』ということでした」
そのことに何の異論もなかったノムラさんは選考を突破。
施設見学、講座受講、就職サポートなどを経て、紹介された施設で介護職として働くことになったそうだ。
ノムラさんは語る。
「介護の資格を取得するための講座は自分の都合に合わせて受けられたので、当時の仕事を辞めたり休んだりする必要はありませんでした。
この就職支援制度の利用者は、就職後も専門の相談員がいろいろな相談に乗ってくれるので、とても助かっています」
ノムラさんはこのような制度が存在することを、“野菜を包んだ新聞”を見るまで知らなかったが、介護職の就職支援事業を行っている自治体は多いという。
わざわざお金を払って資格を取る人は少なくないが、それが本当に役立つのかは常に未知数。
転職・就職がうまくいくためには情報収集も大切。無料で資格が取れたり就職先を紹介してくれたり、手厚いサポートのある自治体の制度も調べてみては?