訪問介護のリーダー的存在である「サービス提供責任者(サ責)」。
今回はサービス提供責任者の仕事内容から、平均給与・資格要件など転職に役立つ情報をまるごと解説します。ケアマネジャーとの違いや他の職種との兼務などよくある質問にも回答するので、ぜひ参考にしてくださいね。
1 サービス提供責任者(サ責)とは?
2 サービス提供責任者(サ責)の業務内容
3 サービス提供責任者(サ責)の給与
4 サービス提供責任者(サ責)の仕事の魅力は?
5 サービス提供責任者(サ責)になるには?
5-1 2018年の要件改定で一部の要件は除外
6 サービス提供責任者(サ責)に関する気になるQ&A
7 サービス提供責任者(サ責)への転職体験談
8 介護職のキャリアアップはサービス提供責任者を視野に入れよう
サービス提供責任者は訪問介護事業所等に勤務する職種のひとつです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいた訪問介護計画の作成や、訪問するヘルパーの調整・指導を行います。
利用者さんに適切な訪問介護サービスを提供するためにさまざまなマネジメントを行う、訪問介護事業所のリーダー的存在です。
>>サービス提供責任者(サ責)になる方法を知りたい方はこちら<<
デスクワークから現場の業務までこなすサービス提供責任者の業務は、仕事の領域が幅広いことが特徴です。サービス提供責任者の主な業務内容3つを見ていきましょう。
ケアマネジャーの立てたケアプランをもとに、より具体的なスケジュールを定めた訪問介護計画書を作成します。作成に当たり、利用者さんやそのご家族との面談は欠かせません。
環境や身体状況などを確認したのち、どのヘルパーが訪問しても同じサービスが提供できるように訪問介護サービスの内容や目標などを設定、課題の解決に向けた計画の作成を行います。
介護サービスの提供期間中は利用者さんの自宅を定期的に訪問し、計画の進行度や利用者さんの状態をモニタリングします。これをもとに、必要であれば計画書や提供するサービスの手順を変更します。
訪問介護サービスを提供するヘルパーのマネジメントもサービス提供責任者の重要な業務です。ヘルパーの能力や要望に応じて、担当配置を考えます。ときにはヘルパーの相談に対応し、働きやすい環境をつくるためにサポートするのも役目のひとつです。
利用者さんの自宅を訪れるヘルパーに対しては、より質の高いサービスを提供できるよう、個々のケア目標や注意点を共有しながら指示・伝達を行います。
状況によってはサービス提供責任者がヘルパーの仕事を兼務して、利用者さんの自宅で介護サービスを提供することもあります。施設によって、日常的に兼務する場合と、ヘルパーの欠勤時など緊急の場合に限り対応する場合に分かれているので、求人を探す際は事前に確認しましょう。
訪問介護では、食事や入浴などをサポートする身体介助、掃除や洗濯などを行う生活援助、通院時の送迎・手続きを手伝う通院介助の主に3種類の介護サービスを提供します。
職種 | 平均給与 |
サービス提供責任者 |
259,904円 |
ヘルパー |
224,126円 |
(出典:介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査結果」)
正社員として働くサービス提供責任者の平均給与は259,904円で、これは前年よりも832円高い額です。
サービス提供責任者とヘルパーの給与を比較すると、35,778円の差があり、ヘルパーからキャリアアップを目指すルートのひとつとして考えられる職種であることがわかるでしょう。
>>サービス提供責任者(サ責)の給与について詳しく知りたい方はこちら<<
訪問介護事業所のスタッフはもちろん、利用者さんやそのご家族、ケアマネジャー、訪問診療医、訪問看護師など、さまざまな職種の人々と関わりながら働くサービス提供責任者。その仕事の特徴から大きな魅力を3つご紹介します。
「自分の作成した計画で充実した生活を送ってほしい」という思いで訪問介護計画を作成し、自立支援に向けたサポートを行えることは、大きなやりがいに繋がるでしょう。
利用者さんの生活の根幹を支え、その人らしい姿や表情に触れるたびに、大きな達成感を得られるのはこの仕事ならではの魅力です。
訪問介護計画書作成などのデスクワーク、ヘルパーのマネジメント、現場業務など、日々多くの業務を同時進行でこなしていくため、責任が重くハードな印象がありますが、それに見合うやりがいを見出せるはずです。
サービス提供責任者はときにヘルパー業務も兼務します。
利用者さんの望む生活を実現するために何が必要なのか、ケアマネジャーの作るケアプランと違い、現場でのサービス提供を通して肌感覚で得られた情報を計画に落とし込めることもサービス提供責任者のやりがいのひとつでしょう。
また、ケースカンファレンスなどを通してヘルパーと同じ目標を持って利用者さんの生活を支えることができます。現場のヘルパーの成長を実感できることもサービス提供責任者の仕事における魅力です。
利用者さんに最適な支援プランを提供するための「サービス担当者会議」では、ケアマネジャーやデイサービス職員、訪問看護師、リハビリテーション専門職、訪問診療医など、訪問介護に携わる多くの人と情報共有や相談を行います。利用者の支援に向けて、各分野の専門家と意見交換することで、介護に対する考えもさらに深まっていくでしょう。
また、事業所内でのヘルパーの調整やカンファレンスを通して、マネジメントスキルを向上させることもできます。
サービス提供責任者として働くことで、介護職としての成長につながる機会が増えることは間違いありません。
介護の現場で欠かせないサービス提供責任者ですが、あくまでも訪問介護事業所内での役割なので、「サービス提供責任者」という資格はありません。ただし、業務を行うためには上記4つのうちいずれかの要件を満たす必要があります。
要件を満たした職員の中から、適切だと判断された人がサービス提供責任者として配置されます。非常勤職員であっても、一定の勤務時間が確保できていれば勤務可能です。
「介護福祉士」は、介護福祉士国家試験に合格すると得られる資格です。試験を受けるためには福祉系の高校や介護福祉士の養成施設を卒業する、もしくは規定の期間、実務経験を積む必要があります。
「介護福祉士実務者研修」は、450時間におよぶ介護に関する講習です。介護職員初任者研修を修了していれば、130時間分が免除になります。研修は昼間、夜間、通信など生活スタイルに合った時間に受講することが可能です。
2018年度までは、介護職員初任者研修もしくは旧ホームヘルパー2級課程修了者でも、3年以上の実務経験を有していれば、サービス提供責任者になることができました。
しかし、より専門性の高い教育を受けた職員がサービス提供責任者を担うべきだという視点から制度改正され、移行期間を経て2019年度からは介護職員初任者研修・ホームヘルパー2級だけではサービス提供責任者になることはできなくなりました。
現在、介護職員初任者研修もしくはホームヘルパー2級のみ持っている人がサービス提供責任者になるための最短のルートとしては実務者研修を修了するという方法が挙げられます。
これから介護業界でサービス提供責任者としてステップアップしたいと考えている方が気になる疑問点と回答をまとめました。ぜひチェックしてみてください。
ケアマネジャーは利用者さんが利用するすべての介護保険サービスを総合的にマネジメントする介護職種です。
一方のサービス提供責任者はあくまで訪問介護サービスにおける責任者です。
ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに、サービス提供責任者が訪問介護計画書やサービス提供手順書などの訪問介護サービスに必要な書類を作成します。また、訪問介護サービスを提供するヘルパーのまとめ役となり、ケアマネジャーや訪問看護師などの医療職との連携も行います。
>>サービス提供責任者(サ責)とケアマネジャーの違いを詳しく見る<<
要件を満たしていれば、未経験者や初心者でもサービス提供責任者になることは可能です。年齢や性別などの制限もありません。
しかし実際の就職や転職においては経験者が有利な傾向があります。介護業界が全くの未経験である場合はまず介護職を経験してからの応募がおすすめです。サービス提供責任者はヘルパーの上に立つ役職のため、ヘルパー業務に深い理解がないと業務を進めることがむずかしい場面も出てくるでしょう。
訪問介護事業所で一定数の配置が義務付けられているヘルパー・サービス提供責任者・管理者のうち、サービス提供責任者はどちらの職種とも兼務可能です。サービス提供責任者とヘルパーを兼任し、ヘルパーとして夜勤することもできます。
ただし、訪問介護の中心的役割を果たすヘルパー・サービス提供責任者・管理者の3つの業務を全て兼務することはできません。ヘルパーもしくは管理者、どちらか一方のみとの兼務となります。
兼務に関する要件は各都道府県で異なるため、詳細は各自治体に確認することをおすすめします。
サービス提供責任者に転職した方の体験談の一部をピックアップしてご紹介します。キャリアの参考にしてみてください。
サービス提供責任者は、訪問ヘルパーと利用者・ケアマネジャーをつなぐ調整役です。訪問介護サービスの責任者としてヘルパーの教育・指導や訪問の調整、緊急時の対応などを行います。利用者・ケアマネージャー・ヘルパーの橋渡し役を務める介護の現場には無くてはならない存在でしょう。
サービス提供責任者として身につけることができるスキルは訪問介護以外の職場でも役立つので、介護職からのキャリアアップを考える際にはぜひ検討したい職種です。
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