サービス提供責任者は、ヘルパーやケアマネジャーと利用者さんをつなぎ、訪問介護サービスの計画を立てる仕事です。そんなコーディネーター業務を行うサービス提供責任者の年収はどのくらいなのでしょうか。
今回はサービス提供責任者の雇用形態ごとの平均給与や他の職種と比較した結果を解説します。給与をアップさせるための方法もあわせてご紹介するので、ぜひ参考にご覧ください。
1 サービス提供責任者(サ責)の平均年収
2 【雇用形態別】サービス提供責任者(サ責)の平均給与
3 サービス提供責任者と他の職種の給与比較
4 サービス提供責任者の給与をアップさせる4つの方法
5 サービス提供責任者(サ責)のキャリアを重ねて年収アップを目指そう
公益財団法人介護労働安定センターの「令和3年度 介護労働実態調査」によると、サービス提供責任者として2年以上勤務している人の平均年収は3,899,562円でした。
月の平均給与(月給)は259,904円、平均賞与は628,731円で、月給の約2.4ヶ月分の賞与が支給される計算です。同調査結果では、約70%のサービス提供責任者が賞与ありと回答しています。
手取り金額は一般的に総支給額の約75~85%程度になるといわれていることから、サービス提供責任者の手取り年収は約280~330万円程度と考えられるでしょう。
サービス提供責任者は正社員としてだけでなく、パートやアルバイトとして働くことも可能です。ここでは業務形態ごとにサービス提供責任者の平均給与をご紹介します。
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査」)
正社員として常勤で働くサービス提供責任者の平均月給は259,904円です。これには基本給以外に、交通費や役職手当なども含まれます。賃金階級別にみると月給20~23万円の層が一番多く、中央値は250,000円です。
施設によってはこれらに賞与が加算されることになります。
パートやアルバイトとして働くサービス提供責任者の平均時給は1,221円です。最低賃金は都道府県ごとに異なりますが、賃金階級別にみると時給1,000円以上1,100円未満の層が一番多いです。
中央値は1,145円ですが、時給1,500以上に設定している施設も一定数あります。
職種 | 平均月給 | サービス提供責任者との差 |
サービス提供責任者 |
259,904円 | ― |
看護職員 |
282,249円 | +22,345円 |
介護支援専門員(ケアマネジャー) |
264,577円 | +4,673円 |
生活相談員 |
257,498円 | -2,406円 |
訪問介護員 |
224,126円 | -35,778円 |
介護職員 |
222,756円 | -37,148円 |
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査」)
上記の表から、サービス提供責任者は他の介護職と比べても、比較的給与が高い傾向にあることがわかります。国家試験の取得が必要な看護職員の給与が一番高く、次いで公的資格が必要な介護支援専門員、サービス提供責任者が続く形です。目指すにあたっての難易度や業務内容に応じて給与に差が見られます。
介護職のなかでは比較的、平均給与の高いサービス提供責任者ですが、さらに給与を上げるにはどうすればよいのでしょうか。ここでは給与をアップさせるために知っておきたい4つの方法について解説します。
サービス提供責任者の仕事は利用者さんやヘルパーとのやり取りや調整業務が中心です。
もちろん知識やスキルも必要ですが、ひとり一人に合わせた臨機応変な対応も欠かせないため、長期的に同じ人々と関わり、それぞれの特徴や傾向を理解することで対応できる業務も増えると考えられます。よって同じ勤務先に長く勤めることでサービス提供責任者としての信頼度も高まり、給与アップが見込めるでしょう。
また、常勤で働く介護職員の平均給与は勤務年数を重ねるにつれて上がる傾向にあります。データは介護職員のものですが、サービス提供責任者でも同じ傾向がみられるでしょう。
勤続年数 | 介護職員の平均年収 |
勤続1年~1年11ヶ月 |
280,550円 |
勤続5年~5年11ヶ月 |
305,970円 |
勤続10年~10年11ヶ月 |
322,990円 |
(出典:厚生労働省「令和4年度 介護従事者処遇状況等調査結果」)
サービス提供責任者は訪問介護事業所の管理者とヘルパーを兼務することが認められています。事業所によって規定は異なるものの、管理者との兼務で「職務手当」、ヘルパーとの兼務で「処遇改善手当」などが支給される可能性があります。
ただし、サービス提供責任者・管理者・ヘルパーの3つの業務を同時に兼務することはできません。兼務に関する要件は各都道府県によっても異なる場合があるので、お勤めの都道府県のホームページで確認するようにしましょう。
介護に関する別の資格を取得することで給与アップを目指すのもひとつの方法です。サービス提供責任者はさまざまな介護職種の人と関わるため、多くの介護資格で仕事に生かせる知識を得られるでしょう。
介護計画の作成に活かせる「ケアマネジャー」や利用者さんへの対応方法が広がる「認定介護福祉士」などがおすすめです。勤務先によっては、特定の資格を取得することで資格手当がもらえます。
また公益財団法人介護労働安定センターの「令和3年度 介護労働実態調査」によると、79.1%のサービス提供責任者が介護福祉士の資格を保有しています。ヘルパー業務の基礎となる知識を証明する資格なので、もし未取得であれば、介護福祉士から取得するとよいでしょう。
事業所や施設によっては、資格取得にかかる費用を支援してくれる制度を設けている可能性もあります。一度確認してみましょう。
勤務する地域や施設によっては、どうしても昇給が見込めないこともあります。現在の勤務先で給与に満足していない、昇給も見込めそうにないという場合は、より好待遇な事業所・施設への転職を検討しましょう。
勤続年数が長い方が給与は上がる傾向にありますが、施設が定めるもともとの基準が低くては、将来的にも求める給与は望めません。早めに転職を決意し、新しい勤務先で長く働くことを考えた方がよいでしょう。
事業所内のヘルパーをまとめ、利用者さんと訪問介護サービスをつなぐサービス提供責任者は、他の介護職種と比べても、比較的年収が高い傾向にあります。しかし今以上の年収アップを狙うことも可能です。資格の取得や業務の兼務、そしてより好待遇の事業所への転職の検討など、ご紹介した内容をもとに行動に移してみましょう。もし現在の給与がサービス提供責任者の平均給与よりも低い場合は、勤務先の基準が低い可能性もあります。すぐに転職を考えていなかったとしても、一度ほかの事業所の求人を見てみてもよいでしょう。
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