■書名:介護現場で使える 急変時対応便利帖
■著者:介護と医療研究会
■監修者:河村 雅明
■出版社:翔泳社
■発行年月:2019年1月
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利用者の緊急時にどう対応する?すばやく正しい判断のためのハンドブック
介護現場では、高齢の利用者の体調が急変することは珍しくない。
とっさに適切な判断と対応が求められるが、苦手意識を持つ介護職も多いのではないだろうか。
ベテランになっても、看護師のいない夜間は心細いという話も耳にする。
本書は、介護現場での利用者の急変時の対応をまとめたもので、自分のものにしておきたい内容がつまった1冊だ。
本書は次の3つのパートからなる。
PART1 急変時対応の基本技術
PART2 症状別・即救急車を呼ぶべき症状
PART3 まず現場で対応・急変時対応
PART1では、急変時とはどういう症状・どういう状態をいうのかを説明したのち、人工呼吸などの応急処置について解説。
バイタルサインの見方や、救急車を呼ぶ・呼ばないの判断など、救命処置の「基本」がわかる。
すぐに救急車を呼ぶ必要のある緊急度の高いものについて、症状別に対応の手順を解説したのがPART2だ。
ここでは以下の症状を網羅している。
意識障害/しびれ/激しい頭痛/めまい/
ろれつが回らない/けいれん/激しい胸の痛み/
不整脈/チアノーゼ/ショック状態/
息苦しくなる/激しい腹痛/急な嘔吐(おうと)/
急な下痢/喀血(かっけつ)・吐血/突然の下血/
誤嚥(ごえん)による呼吸困難/
転倒・転落による頭部打撲、骨折/やけど/
溺水/熱中症
やけどや微熱のように、緊急度が中~低の状況でも、知っておきたいことは少なくないはず。
PART3では、ていねいに症状を拾い上げて、必要な対応が解説されている。
本書の一番の特長は、タイトルにあるとおり
「介護現場で使える」内容であること。
現場で本当に必要なこと、知っておきたいことを漏れなく網羅し、わかりやすく解説してある。
たとえば、もっとも大切な救命措置については、PART1のトップで取り上げ、すぐに確認できるようになっている。
まず基本的な流れをフローチャートで把握。後に続くページで、それぞれのステップについての詳細を読むことができる。
救急車を呼ぶか呼ばないかの判断も、多くの人が悩むポイントだろう。
むやみに救急車を呼ぶのはNGだが、ケースによっては緊急に救急車を呼ぶことが救命のカギになる。
救急車を呼ぶことになった場合に備えて、手際よい電話会話例まで示してあるのも心強い。
なお、本書では、判断に迷ったら「#7119 救急安心センター」を利用することもすすめているので、参考にしてみてはどうだろうか。
本書の中心となるPART2「症状別・即救急車を呼ぶべき症状」では、症状別の対応手順が理解しやすいように工夫して示されている。
フローチャートでまとめてあるので、手順を追って確認できて非常にわかりやすい。
また、
「しなければならないこと」と同時に重要な
「してはいけないこと」についても、囲み枠を使って目立たせてあるので一目でわかる。
まさに「介護現場で使える」1冊といえる。
各施設で急変時対応マニュアルを整える際には、本書をベースにするとよいだろう。マニュアルのサンプルがWebからダウンロードできるのも、導入しやすく便利だ。
もちろん介護職個人としても、ぜひ手元に置いて活用したいハンドブックだ。
著者プロフィール(引用)
介護と医療研究会(かいごといりょうけんきゅうかい)
介護・医療関係をテーマに編集・執筆を行うグループ。介護・医療雑誌の取材、執筆などを手がける。介護・医療関係者が在籍し、介護業界をよりよくするために意見を交わしている。
監修者プロフィール(引用)
河村 雅明(かわむら・まさあき)さん
日本大学医学部卒。医療法人社団弘成会河村内科院長。2012年から2016年まで一般社団法人東京都北区医師会の代表理事・副会長、東京都北区高齢者あんしんセンターサポート医、東京都北区障害者介護給付費等審査会長ほかを務める。