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2015年09月03日

介護職に気づいてほしい。「ダブルケア」「ヤングケアラー」の存在 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

利用者の家族に会ってみたら、小さい子どもの子育て中だった、ということはありませんか?
最近は晩婚、高齢出産が増え、40歳を過ぎて子どもを授かる人も、以前ほど珍しくなくなりました。そうしたこともあって、子育て中に親の介護を担うことになる、「ダブルケア」状態の人が徐々に増えているというのです(*1)。


縦割り行政の谷間に置き去りにされているダブルケア

q1ダブルケア状態の人たちが集まったあるワークショップでは、当事者やその支援者の意見交換の中で、下記のような課題が明らかになりました(*2)。

(1)ダブルケアをしている介護者を支援するための窓口が明確でない

(2)介護や保育などのボランティアをしている地域の人材が分散しているためネットワークづくりが急務

(3)ネットワークの要となる活動をサポートするためにも経済的な面を含めた支援が必要

中でも問題なのは、多くの自治体で子育て支援と介護者支援の担当窓口が違うこと。担当者間、制度間の連携もほとんどない場合が多く、なかなか効果的な支援ができていない状況です。どのような支援が必要かを考えていくためには、まずは実態の把握が必要です。政府も、ようやく今年度中に実態調査を行うことにしたとのことです。


ダブルケア同様、実態がわからない「ヤングケアラー」の存在

ダブルケアと同じように、制度の谷間に置き去りにされているのが「ヤングケアラー」です。ヤングケアラーとは、親や祖父母などの介護を担っている子どもや若者のこと。ダブルケア以上に実態把握ができておらず、どこにどれぐらい存在しているのかまったくわかっていません。

高校時代から大学卒業まで、脳梗塞で倒れた父親を、母親と二人で介護していたという、元ヤングケアラーの男性は、「大変でも、誰に相談していいかわからなかった」といいます。部活や恋愛の話で盛り上がる友人たちには、とても話す気になれない。学校の先生には父親の病気のことは伝えたものの、それ以上のことは話していないし、聞かれもしない。これでは、たしかに相談する相手がいません。

大人であれば、行政の支援を受けることを検討するかもしれません。しかし、10歳代~20歳代前半は行政との関わりが最も薄い時期。まず、行政に相談しようという発想自体が思い浮かびません。また役所に足を運んだとしても、どこの窓口に自分の大変さ、苦しさを訴え、助けてもらったらいいのかわかる人がどれだけいるでしょうか。この男性も、介護保険が使えることすら知らないまま、母親と二人、果てしない介護に向き合っていたのだそうです。


制度の谷間で苦しむ介護家族を救えるのは介護職

q2もし役所を訪れることができたとしても、窓口担当者は適切に対応できるでしょうか。たとえば、高齢者支援の担当者が、介護のつらさを訴える“子ども”を「介護家族」としてとらえられるのか。しっかりと話を聞き取れるのか。実際、この男性は1度だけ、高校の制服姿で行政の窓口に相談に行ったことがあるといいます。そのとき、窓口担当者に言われたのは、「今度おかあさんと一緒に来てね」という言葉。介護保険についての説明も一切無いまま、こう言われたことで、自分たちのようなケースは行政に助けを求めてはいけないのだ、と思ってしまったそうです。愕然とするような話です。

そこで重要になってくるのが介護職の存在です。ダブルケアで苦しんでいる人や、ヤングケアラーの存在に気付く。そして、必要な情報を伝えると同時に、行政などの支援機関につないで適切な支援を受けられるようにする。それができるのは、ケアマネジャーやホームヘルパー、デイサービス職員など、利用者宅を訪問し、家庭の事情を把握しやすい介護職ではないでしょうか。

ヤングケアラーは、存在が見過ごされていると、家庭内で介護の担い手としての立場が固定してしまう恐れがあります。そうなると、自分自身の望む進路を選択できなくなるかもしれません。支援がないことによって、人生が大きく変わってしまうかもしれないのです。そうならないよう、介護職のみなさんには、観察力、情報収集力を発揮して、そうした介護家族の存在に気づいてほしい。そして、適切な支援が受けられるよう支援していってほしいと思います。

<文:宮下公美子>

*1 育児と介護同時期に 「ダブルケア」知ってる?<日本経済新聞 2015年8月19日>
*2 レポート ダブルケア意見交換会<ダブルケア(育児と介護の同時進行)の研究>

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