新型コロナ「かかり増し費用助成」申請本格化
国の2次補正予算事業「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)」(包括支援事業)のうち「感染症対策を徹底した上での介護サービス提供支援事業」(支援金)の申請受付が茨城県を除く全国で始まっている。
介護施設・事業所が衛生用品を購入▽3密回避のための機器・システム購入▽専門家による講習会開催――などによる報酬、工事請負費、使用料、委託料、備品購入費などの掛かり増し費用を助成する。2020年4月~21年3月末に発生した費用が申請できる。新型コロナ感染者や濃厚接触の有無にかかわらず、すべての介護施設・事業所で申請可能。
申請額「算出」で柔軟対応
支援金の申請受付状況と申請先
今回の支援金は、新型コロナやインフルエンザなどの感染症拡大に備え、予防を徹底する趣旨のため、想定される費用額を事前申請できる「概算払い」を認める都道府県がほとんど。
本格的な感染拡大に先駆けて、サービスごとの最大助成額である「通所介護(通常規模型)89.2万円」「訪問介護
53.4万円」「特養3.8万円×定員数」などを申請しておき、将来の感染拡大に備える。ただし、実績報告で余剰が発生した場合は返還手続きが必要。
申請締切りも21年2月末など幅広に認める自治体がある一方で、11月末、12月末など早めに設定する自治体が多いのも、小康状態のうちに申請を済ませてもらう狙いがある。
「国保連」申請が主流
また、一部の県を除き、事務作業や申請・支払いの利便のため、原則として介護施設・事業所には国保連システムで申請を求める。債権譲渡(介護報酬早期資金化サービスの利用)や、特定施設でない有料老人ホームなどは郵送で申請を認める。都道府県は、包括支援事業のもう一つの柱である「介護慰労金」申請を先行させてきたが、慰労金申請が完了していない事業者に対して、国保連システムを活用し、慰労金と支援金を一体で申請することを求めている。
支援金申請の本格化とともに、「衛生用品」「ICT機器」「密接介助や人との接触機会の削減が期待できる機器」「換気機能付き空調設備」などへの注目も高まっている。
<シルバー産業新聞 10月10日号>