「介護の仕事は人手不足で売り手市場」という話は本当なのでしょうか?これまでの有効求人倍率の推移とコロナ禍の影響など社会情勢から見た介護業界の転職市場の今後を解説します!
新型コロナウイルスの感染拡大は、外食産業や観光業をはじめ、さまざまな分野の雇用状況に大きな影響を与えました。介護業界はどうでしょうか?
雇用動向を示す指標の1つ「有効求人倍率」で見てみましょう。
厚生労働省によると、2021年8月における全国・職業計の有効求人倍率は1.03倍で、1年前の0.95倍に比べ、わずかながら上昇。つまり、求職者数に対する求人数の割合が増えている状態です。
しかし、2019年8月の有効求人倍率は1.44倍でしたから、新型コロナウイルス感染拡大の影響により雇用市場の動向は低水準が続いています。求職者にとっては厳しい状況と言えるでしょう。
それに対して、介護サービス従事者の有効求人倍率は3.63倍で、全体と比べれば非常に高い数値です。
有効求人倍率とは、求職者1人に対し何件の求人があるかを示す指標ですから、介護業界はコロナ禍においても、転職・就職しやすい「売り手市場」であることがわかります。
(資料:厚生労働省「職業別一般職業紹介状況」)
介護業界・介護サービスの転職市場は、他業界と比べるとどのくらい売り手市場になっているのでしょうか?
職業別の有効求人倍率を実際に比較してみましょう。
2019年8月 | 2020年8月 | 2021年8月 | |
---|---|---|---|
職業計 | 1.44 | 0.95 | 1.30 |
管理職 | 1.60 | 1.13 | 1.16 |
専門・技術職 | 2.14 | 1.65 | 1.75 |
事務 | 0.48 | 0.32 | 0.35 |
営業・販売 | 2.26 | 1.52 | 1.53 |
サービス業 | 3.64 | 2.35 | 2.44 |
(介護サービス) | 4.43 | 3.88 | 3.63 |
(飲食・調理) | 3.39 | 1.67 | 1.91 |
(接客・給仕) | 3.86 | 1.67 | 1.80 |
(その他のサービス) | 1.99 | 1.27 | 1.42 |
保安 | 8.16 | 6.55 | 6.25 |
製造業 | 1.70 | 1.02 | 1.63 |
輸送・機械運転 | 2.62 | 1.71 | 1.80 |
建設関連 | 5.34 | 4.98 | 4.84 |
介護サービスの3.63倍という数値は、他業界の職種と比べて高い倍率であることがわかります。介護サービスよりも高いのは、建設業等の一部職種や保安といった業界に限られます。また、同じサービス業の飲食・調理、接客・給仕といった職種と比べてみても、介護職の有効求人倍率の高さは2ポイントほど高くなっています。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、2年前に比べてどの業界も厳しい雇用状況にありますが、その中で介護サービスは、求職者に比べて求人数が多い状態をキープしていると言えます。
(資料:厚生労働省「職業別一般職業紹介状況」)
介護サービスの有効求人倍率が他業種と比べて高いということは、介護業界においては働き手が不足していることを示しています。つまり、事業者にとっては人材確保が重要な課題となっていると言えます。
一方で、仕事を探している人にとって有効求人倍率が高い状態は、いわゆる「売り手市場」ということ。
直近(2021年8月)の介護サービス職の有効求人倍率は3.63ですから、求職者1人に対し3~4件程度の求人があるということです。
有効求人倍率が高いほど転職先・就職先の選択肢が多くなりますから、自分のスキルや志望に合った職種や働き場所を見つけやすいと言えるでしょう。
厚生労働省のデータを使って、介護業界の有効求人倍率の推移を見てみましょう。2012年度まで遡って、職業計の倍率と比較してみます。
●介護サービスの有効求人倍率の推移
介護サービス | 職業計 | |
---|---|---|
2012年度(平成24年度) | 1.80 | 0.74 |
2013年度(平成25年度) | 1.92 | 0.87 |
2014年度(平成26年度) | 2.30 | 1.00 |
2015年度(平成27年度) | 2.69 | 1.11 |
2016年度(平成28年度) | 3.18 | 1.25 |
2017年度(平成29年度) | 3.72 | 1.38 |
2018年度(平成30年度) | 4.06 | 1.46 |
2019年度(令和元年度) | 4.33 | 1.41 |
2020年度(令和2年度) | 3.88 | 1.01 |
有効求人倍率は、2008年のリーマンショックを機に大幅に落ち込み、それまで右肩上がりで2%台まで伸びていた介護サービス職の有効求人倍率も、一気に1%台半ばまで落ち込みました。
しかし2013年頃からおおむね2%台を回復し、2016年には3%台へ。そして2017年11月の4.04%以降は3%台後半から4%前半をキープ。2019年12月には4.80%と非常に高い倍率になりました。
その間、職業全体の求人倍率は1%台ですから、介護業界の「売り手市場」ぶりが際だちます。
しかしその後2020年からは新型コロナウイルス拡大の影響を受け、3%台を推移しています。
(資料:厚生労働省「職業別一般職業紹介状況」)
介護業界の有効求人倍率は、今後も高い傾向で「売り手市場」が続くと予想されています。それには、次のような背景があります。
1. 高齢化社会の加速
75歳以上の高齢者が全人口に占める割合は年々増加しています。2055年には、全人口の25%を超えると予想されています。
同時に、高齢者の単身世帯や夫婦のみの世帯、認知症高齢者など、介護サービスの対象となりうる人たちの増加ペースも加速。
厚生労働省は2025年度末までに年間6万人程度の介護人材の確保が必要と見込んでいますが、そのニーズがその後も続くのは間違いありません。
2. 介護サービスの多様化
「歳を取ったら介護施設へ」という考え方もある一方、できるだけ最期まで住み慣れた自宅で過ごしたいと考える人も増えています。
要介護者が増えるとともに、高齢者やその家族が利用したいサービスのニーズも多様化しています。
介護サービスへのニーズの多様化に伴い、さらに幅広いフィールドで介護人材のニーズは高まるでしょう。
3. 介護業界への参入増加
高齢化社会が進んでいることから、介護業界は成長産業としての魅力もあります。そこで他業種からの企業参入も増えています。
サービスの多様化と合わせ、新規施設の開設や新サービスの開拓も活発化するでしょう。介護に携わりたいと考える人を歓迎する流れは、ますます拡大すると考えられます。
介護職やヘルパーなどの人材確保の裾野を広げ、慢性的な人手不足を解消しようと、国も介護事業所も取り組みを始めています。
たとえば、アクティブシニアや主婦など幅広い年齢層の参入を促すため、介護サービスの担い手育成を目的とした入門的研修の普及促進や、多様な働き方の導入に力を入れています。
また、介護事業所側もバックアップ態勢を整え、無資格・未経験者でも安心してチャレンジできるよう積極的な資格取得支援を行うところが増えています。
定着率アップのため、働きやすい環境の整備なども今後ますます加速するでしょう。
これからの高齢化社会で欠かせない役割を果たすのが介護サービスです。注目度の高さ、そして「売り手市場」であることからも、転職・就職を希望する人たちにとって介護業界は要チェックと言えるでしょう。
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