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終末期
看取り
奥野修司

2015年02月23日

『看取り先生の遺言~がんで安らかな最期を迎えるために』 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

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■書名:看取り先生の遺言~がんで安らかな最期を迎えるために
■著者:奥野修司
■発行元:文藝春秋
■発行年月:2013年1月25日

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日本人の死生観を見つめ、「看取る」とはなにかを考えてみよう

介護という仕事に携わるなら、《看取り》は正面から向き合わなければいけない問題。実際に、看取りに直面した経験を持つ人もいるだろう。そんなとき、死にゆく人とどう向き合えばいいのかを迷い、死への恐れや哀しみに不安になった人も多いのではないだろうか。その看取りと死をテーマに語っているのが本書だ。

本書は、終末期のがん患者のための在宅緩和ケアに取り組み、自らもがんに冒され死去した医師が著者に語った“遺言”を再構成したもの。その医師の名は岡部健。在宅ケアのパイオニアとして2,000人以上を看取った、がん専門医だ。在宅死を望む患者を看取るなかで、がん患者として看取られる側へ。本書は亡くなる当日までの闘病を綴るとともに、がんの終末期をどう生きるか、どう死を迎えるかを語りかける。

ほとんどの人にとって、死は怖いものだ。
それは戦後の日本では病院で死ぬことが多くなり、死が隠されてしまったからだと言う。おかげで日本人は、それまで続いていた「看取りの文化」を失ってしまう。患者も家族も、介護スタッフも、死は不安でしかない。

岡部医師も、自分がケアされる側に立ったときに、「真っ暗な闇の中を、道しるべもなしに降りていかなければならない心細さや不安は苦痛そのもの」と初めて気づく。そして問いかける。

<果たして医療者に、死への道しるべを示せるだろうか。>
<誰なら死への道しるべを示すことができるのだろうか。>


岡部医師が出した答えは、「過去の宗教的な智恵や経験の積み重ね」だった。

<かつて、自宅での看取りが可能だったのは、ごく普通の人の中に宗教心が息づいていたからだろう。ところが病院死によって、こうした宗教心を覆い隠してしまった。無宗教といいつつ、ほとんどの人が潜在的な宗教心を持っているなら、そのあたりを依り代にしてケアしていけば、少なくとも看取る家族の気持ちを穏やかにできるのではないだろうか。>

ここで言う宗教は特定のものではない。「あの世」とのつながりや「お迎え」といった、日本人がずっと昔から持っていた死生観といったもの。今では胡散臭いイメージで捉えがちだが、「お迎え」は、穏やかな最期を迎えるために「神から与えられたギフト」だと岡部医師は言う。そして、「お迎え」を見ることができるのは、圧倒的に住み慣れた自宅なのだ。

<失われた看取りの文化を取り戻し、同時に「あの世この世」観を再構築することが、日本の在宅医療の最終的な姿だと思う。>

岡部医師が自らの死を前にして語った言葉に耳を傾け、まずは自分がどのように最期を迎えたいかを考えてみてはどうだろうか。その先に、どう看取るかという答えが見えてくるに違いない。

<小田>

著者プロフィール

奥野修司(おくの・しゅうじ)さん
大阪府出身。立命館大学を卒業後、78年から南米で日系移民調査に従事。帰国後はフリージャーナリストとして活動する。2006年、『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞。ほかに『ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年』『心にナイフをしのばせて』『不登校児 再生の島』『満足死 寝たきりゼロの思想』など著者多数。

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