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2017年06月20日

最期を決めるのは本人、個人を尊重したケアを~スウェーデンの介護に学ぶ4 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

介護職出身で介護専門のライフコンサルタントである木村誠さんと、スウェーデンで介護職をしている中村有紀子さん。
ふたりの対談の最終回は、介護そのもの、そして死生観にも迫ります。日本では、介護のしかたも生き方、死に方さえも、家族の影響を強く受けますが、スウェーデンでは違うようです。お国柄の違いを知ることで、私たちはどう介護すべきか、どう生きるべきかのヒントを得ることもできます。

*スウェーデンの介護に学ぶ…1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら


○●○ プロフィール ○●○



木村 誠さん(右)

医療・介護専門ライフコンサルタント。個人を対象とする資産運用・形成などの総合的なプランを設計、提案するファイナンシャルプランニングを実践。介護福祉士・介護支援専門員・ファイナンシャルプランニング技能士。全国ケア実践者ネットワークLinkチーム天晴れ代表(東京・練馬)。スウェーデンの介護施設視察や研修の経験も持つ。

中村 有紀子さん(左)

スウェーデン在住。スウェーデンの高齢者専用住宅の介護職(無資格)、通訳、翻訳家(スウェーデン語、ドイツ語)。日本の介護事業所のスウェーデン訪問に通訳として関わるうちに、介護の仕事に興味を持ち、高齢者住宅にパートタイムの介護職として勤務するようになって2年。当地と日本の介護の違いについて痛感する。


家族が親の介護をするという発想はない


中村さんの勤務する高齢者専用住宅。利用者は比較的お元気な方が多い印象

――スウェーデンの介護は看取りまで在宅が中心だと聞きました。

木村 スウェーデンでは、エーデル改革という福祉・医療に関する改革以来、老人ホームでの24時間介護はできるだけ避け、最期まで自分らしく暮らす、という方針だそうです。
実際、寝たきりになる人もいますが、あえて寝たきりになるような介護はしませんし、身体が動かしにくくなったとしても、個人は尊重され、QOL(生活の質)を大事にしながら在宅で最期まで過ごすことを目指す印象がありますね。

中村 たとえば、認知症になったとしても、「認知症だから大変」みたいな考え方をあまりしないですね。介護する人もされる人もしない。老いることを恥ずかしいとか、もうダメだとか、そのようにとらえることもしない。
他人との比較もしないですし、とにかく「その人らしく」を旨に生活の支援をします。

――家族による介護はどの程度あるのですか?

中村 基本的にはないですね。子どもは18歳になれば家を出て自活し、結婚すれば自分の家族を持って暮らします。親の介護をする、という観念がないです。
親のほうも、できるだけ自分の力で暮らす、と思っています。

木村 日本では、介護のやり方なども、本人の意思より家族の意向が重んじられる部分があったりしますが、スウェーデンではまったくなさそうですね。

中村 本人の意向がすべてです。家族が介入しない、という理由もあるのでしょうが、介護職と利用者さんとの関係も、日本より近しいのではないでしょうか。信頼関係で結ばれている実感があります。
排せつなど、その方の一番個人的な部分をともにするわけですから、個人主義の国民としては、信頼関係を求めます。利用者さんのカードの暗証番号をうかがって買い物をすることもあります。
こちらも信頼に応え、この仕事に真摯に向き合う気持ちが必要です。

木村 日本では、血がつながっている人を無条件に信頼し、他人は信頼しないという傾向がありがちですが、そのあたりがかなり違いますね。
日本では介護保険制度があり、介護サービスがあっても、「家族が介護しないのはかわいそう」というようなメンタリティがある。これがある限り、介護サービスの発展もなかなか難しいですよね。
世論が家族に介護を押し付けるようなところもありますが、それもやめてほしい。これでは介護離職の問題も解決されません。そして、精神的に追い詰められた家族がご本人に暴言を吐くようでは、本当に意味がないです。


「食べられなくなったら死なせてあげなさい」

中村 死生観もかなり違うな、と感じますね。胃ろうの話をしたときに、「なぜ胃ろうが必要なの?」と言われたことがあります。「食べられなくなっているんでしょう? 死なせてあげなさい」と。
介護の仕事をはじめた最初の夏に、転倒から体力が弱り、食欲が激減して高熱が出た利用者さんがいたんです。でも、点滴もしませんでした。
全身に激痛があるときにはモルヒネを打ちますが、薬の治療は極力しない。そのかわり、24時間体制で見守ります。口元を水分でしめらせるなど、ケアのために、頻繁に枕元にうかがいます。

木村 ひとりでは死なせない。手を触れるなどし、タッチケアを大事にする。それもご本人の生と死の尊重の現れでしょう。

中村 生はだれのものなのか、という答えがはっきりしていますね。命はその人のもの、家族のものではない。

木村 日本でも、「病院で管につながれて死ぬことを避ける」というような考えを貫く人が増えてきました。自分の生と死は自分で決めるという気持ちを強く持つことが、その人を尊重することに大きく関わってきますよね。
スウェーデンの介護を見ていると、本当にそれがよくわかり、自分たちの人生のことも改めて考え直すことができる。これからも、スウェーデンの介護事情を注視して、私たちの暮らしにも役立てていきたいと思いますね。

<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>



*スウェーデンの介護に学ぶ…1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら



 

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