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小澤竹俊

2016年02月26日

『小澤竹俊の緩和ケア読本~苦しむ人と向き合うすべての人へ』 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

名称未設定-1 (1)■書名:小澤竹俊の緩和ケア読本~苦しむ人と向き合うすべての人へ
■著者:小澤 竹俊
■発行元:日本医事新報社
■発行年月:2012年7月31日

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苦しむ人から逃げずに関わり続けるため、看取りの現場で介護職にできることとは?

「もしあなたが、まもなくお迎えが近いと思われる人の担当になったら、どのように関わるでしょう?」

本書はこの問いかけの一文から始まる。介護施設や訪問介護の現場でも、看取りに直面するケースは増えている。「苦しむ人の力になりたいと思っているのに力になれない」「どう声かけをすれば良いのかわからなくなり、逃げ出したくなる」など、介護職として終末期の利用者とどう関われば良いのか、何ができるのか?と実際に悩んでいる人も多いのではないだろうか。

著者の小澤竹俊さんは、年間200人以上の在宅看取りを実践する「めぐみ在宅クリニック」の院長。看取りの現場を知り尽くした著者が、冒頭の問いかけに対する解決策を、医療・介護に関わる人に向けてシンプルな言葉で綴ったのが本書だ。

本書のテーマは、医療を専門としない人が、終末期の方やその家族の《良い援助者》になるためにどうすればよいか。著者は、「理解者であること」が大事だと説く。ポイントは次の2つだ。

●人生の終わりを迎えようとしている人の「苦しみ」をキャッチする
●苦しみの中で「支え」になるものは何かをキャッチする

相手の苦しみや、支えとしているものは何か。そこに意識を当てて関わることが、《良い援助者》になる第一歩となる。本書では、終末期の人たちの「苦しみ」とはどういうものか、苦しみの中でなにが「支え」となるのかを掘り下げる。たとえば、「将来の夢を失うスピリチュアルな苦しみ」や「選択の自由が奪われる苦しみ」など。そして、支えとなるものとして「死を超えた将来の夢」や「他者との関係」「死生観」などを挙げている。

しかし「相手の気持ちを100%理解することは不可能」だとも言う。それでも、私たちにできることがある。それが「理解者になること」だ。相手を理解することと、相手の理解者になることは違う。

たとえば「誰にもわからない苦しみがあることを、この人はわかってくれた」と感じれば、相手はあなたのことを理解者だと思うだろう。では、どんな人であれば理解者になれるのか?

それは「聴いてくれる人」になることだと著者は言う。しかし実際には、「聴く」ことは難しい。苦しんでいる人を前にすると、励まそうと思ったり、なにか良いことを言おうとして、聴くことがおろそかになってしまうためだ。そこで本書では、終末期の方と関わる際に有効な「援助者コミュニケーション」として、反復、沈黙、問いかけのテクニックが、具体的な会話を例に挙げて紹介される。

本書は、読者の疑問に答えるような形で順を追って解説が進んでいく。一つひとつ納得しながら考えを深めていける構成なので、理解しやすい。また、人はどのようにして最期を迎えるのかという、終末期の経過についての解説もある。看取りを経験したことがない介護職は、ここに書かれた内容を読むことで、自分がどう関わっていくのかを考える参考になるだろう。

緩和ケアの現場が、きれい事だけではないことにも言及。力になれずに苦しむこともあれば、心を込めてケアをしているのに、利用者のストレスが介護職に向かってくることもある。だからこそ著者は、そうした現場で働く人に「必ずしも笑顔になる必要はない」とメッセージを送る。死を前に様々な感情が表れるのは自然なことなのだと。

著者が座右の銘にしている言葉は、「誰かの支えになろうとする人こそ、一番、支えを必要としている」。また、次のようなメッセージも綴られている。

<力になれない苦しみを自ら感じるとき、自分の支えに気がつくチャンスとなります。決して一人だけで仕事をしているのではありません。うまくいっているときには気づかない大切な支えが見えてきます。皆さんには、支えがありますか? 人は自らの支えに気づくとき、苦しさの中にあっても生きようとする確かな力が与えられます。その支えこそ、逃げないで最期まで関わり続けることのできる力となるでしょう。すべての問題を解決できる力があるから、関われるのではありません。力になれない自分の弱さ・無力さを知る人が持つ、本当の支えがあるから、逃げないで最期まで向き合い続けることができるのです。>

自分には終末期の方に関わるのは荷が重いと感じている方、力になりたくてもなれない無力さに苦しんでいる方に、一読をおすすめしたい。

<小田>


著者プロフィール

小澤 竹俊(おざわ・たけとし)さん
1987年 東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。山形大学大学院研究科医学専攻博士課程修了。救命救急センター、農村医療に従事したのち、横浜甦生病院ホスピス勤務。2006年に、めぐみ在宅クリニックを開設。現在院長として活躍中。2015年 一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会設立。著書には『苦しむ患者さんから逃げない!医療者のための実践スピリチュアルケア』ほか多数。

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