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2016年05月13日

『旅のことば 認知症とともによりよく生きるためのヒント』 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

image001■書名:旅のことば 認知症とともによりよく生きるためのヒント
■著者:井庭 崇(編著)、岡田 誠(編著)、慶應義塾大学 井庭崇研究室、認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ
■発行元:丸善出版
■発行年月:2015年5月20日

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認知症は「新しい旅」のはじまり。旅をよりよくするためのヒントを収録

認知症になると、本人はもとより家族の生活も大きく変わってしまう。私たちは、どうしてもその負の面だけにとらわれがちだが、本書では、視点を変え、それを「新しい旅」の始まりと捉えようと説いている。

そして、その「新しい旅」を前向きなものにするための40種類のヒントが紹介される。
どれも、当事者である認知症の方やその家族、それを支える人たちへのインタビューで集められたもの。実際に誰かがどこかで実践している「認知症とともによりよく生きる」ための「工夫」だ。

レイアウトはとてもシンプル。見開き2ページに一つずつ「工夫」が紹介され、「そのとき → そこで → そうすると」の流れで、状況の説明から前向きな解決に至るまでが短い文章で綴られる。本人・家族・みんな、の3つのグループに分類されているので、それぞれの立場における問題や状況、気持ちを理解するのに便利だ。

本書の最大の特徴は、その「工夫」一つひとつに名前をつけ、「旅のことば」と呼んでいる点だ。

たとえば、「今自分ができることをできるだけたくさん書き出す」という工夫には《できることリスト》という名前がついている。また、「自分が美しいと思うものや大切にしているもの、自分の人生を物語るものなどで部屋を満たす」という工夫には《自分をあらわす部屋》と名付けている。

これらは、「パターン・ランゲージ」という理論がベースになっている。もともとは建築分野で提唱された方法だと言う。専門家以外でも理解できる「ことば」をつくって共有することで、誰もが街や建物をつくるプロセスに参加できるようにするという考え方だ。それを福祉分野に応用したのが、本書というわけだ。

<名前をつけることで、その工夫を「ことば」(単語)として扱うことができるようになり、本人、家族、そしてその方たちを支える方々が、その工夫について考えやすくなったり、話しやすくなったりします。>

<いきいきと生きる工夫を「ことば」として共有することは、直面している問題を解決したり、これから直面するかもしれない問題を事前に回避したりすることができるようになるという意味で、大きな意義をもっています。>

「ことば」という共通認識できるものをつけることで、多くの人に伝えたり、ほかの人と話すことで考え方を豊かにしたり、実際に生活に取り入れたりしやすくなるという。

では、介護の現場では本書をどう活用できるだろうか。次のような活用例が紹介されている。

●認知症の方やその家族、施設を利用している人に対して、対話の場を設ける
●スタッフ同士で用いることで、よりよいケアや支援、接し方などを考えるプログラムになる

本書のメインターゲットは、認知症の方やその家族だ。それゆえ、当事者の“心持ち”というようなものが色濃く伝わってくる。それを感じ取ることで、上記のような活用法が有効になるだろう。本書を参考にすることで、介護職として一緒に取り組むべきことが整理しやすくなるのではないだろうか。

本書に綴られた文章には、前向きな未来への光が感じられるのが特徴だ。各ページに添えられたイラストも、温かみにあふれている。いわゆるマニュアル本とは違い、手に取る人にやさしい力を与えてくれる本と言えるだろう。

<小田>


著者プロフィール

<編著者>井庭 崇(いば・たかし)さん
慶應義塾大学総合政策学部准教授。博士(政策・メディア)。創造活動支援の研究に従事し、さまざまな分野のパターン・ランゲージの作成・実践に取り組んでいる。編著書に『パターン・ランゲージ~創造的な未来をつくるための言語』『社会システム理論~不透明な社会を捉える知の技法』など。2012年、NHK Eテレ「スーパープレゼンテーション」で解説を担当。

<編著者>岡田 誠(おかだ・まこと)さん
株式会社富士通研究所R&D戦略本部シニアマネージャー(技術経営(MOT)担当)、実践知研究センター研究員。国際大学GLOCOM、NPO法人認知症フレンドシップクラブとともに「認知症プロジェクト」を立ち上げ、さまざまな企業・組織による協働的な活動を推進。国際大学GLOCOM客員研究員、認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ理事。

<著者>慶應義塾大学 井庭崇研究室
学びやプレゼンテーション、コラボレーション、生き方など、さまざまな分野での創造・実践を支援するパターン・ランゲージを作成・展開している。

<著者>認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ
認知症をとりまく課題を社会のデザインの問題と捉え、企業・自治体・NPOなどのセクターを越えて知恵を出し、実践をしながらよりよい未来をつくっていくことを目的にしたネットワーク。

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