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2022年12月19日

介護保険部会 通所からの訪問介護など視野に ~「新たな複合型サービス」検討

厚生労働省は11月14日の社会保障審議会介護保険部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学理事・法学学術院教授)で、訪問、通所を組合わせた「新たな複合型サービス」の創設を提案した。通所事業所からの訪問介護の提供などを基準化する考え。ヘルパー人材不足を背景に、既存資源の有効活用、および在宅利用者の多様な介護ニーズへの対応強化をはかる。

この日は次期介護保険制度改正へ「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進」がテーマ。
①生活を支える介護サービス基盤の整備
②様々な生活上の困難を支え合う地域共生社会の実現
③保険者機能の強化
――のうち①について議論を行った。

①はさらに「在宅サービスの基盤整備」「ケアマネジメントの質の向上」「在宅医療・介護連携」など13項目に分け検討の方向性を整理。
在宅サービスの基盤整備については、地域の実情に合わせて既存資源を活用した複合的な在宅サービスの整備を進めることが重要だとし、その例として、訪問や通所を組合わせた複合型サービスの類型を設けることを提案した。

同部会では具体的な内容までは示されなかったが、その後の同省への取材では、複合型サービス(現行では看護小規模多機能型居宅介護のみ)の一つに、訪問・通所を一体的に提供する類型を書き込むことを想定。
地域密着型サービスに位置づける方向だ。

サービスの提供方法に関しては
▽通所介護の一部のスタッフが訪問介護に従事
▽訪問介護と通所介護が連携し、いずれか一方が新類型の指定を受け報酬を算定――など、現時点では既存サービスの実態を踏まえ、さまざまな可能性が考えられると説明している。

サービス併用の課題に限度額/通所人員など

同省が参考資料として紹介したのが、同一拠点で複数の在宅サービスを展開する法人。
社会福祉法人協同福祉会(奈良県大和郡山市)では訪問介護・訪問看護・通所介護・短期入所・定期巡回サービス・居宅介護支援などをもつ拠点を複数整備している。

現場の課題となっているのが、サービス併用者は利用頻度が高く、区分支給限度額を超えてしまうこと。
必要なサービスが十分に受けられず、事業所も回数調整等の業務が煩雑になるとしている。

また、愛ネット(千葉県市川市)は訪問介護・通所介護・居宅介護支援等を一拠点で提供。
医療ニーズへの対応は外部の訪問看護や通所リハビリ、短期入所、訪問診療と連携する。

課題は、通所介護で朝の出迎え後や昼食後、利用者帰宅後に一部職員が待機する時間が生じる点。
この時間を訪問に回すなど有効活用したいが、人員基準上難しい。
他には、利用者の状態変化等によるサービス変更はケアマネジャーを介して行うため、対応の即時性に欠ける点も指摘している。

両法人の課題から、通所介護から訪問を提供する場合の通所の人員基準緩和、報酬体系(包括または出来高)のあり方、ケアマネジメントを事業所内のケアマネジャーが担うかなどが今後の議論の焦点となる見込みだ。

同一建物内や同一敷地内の別の建物内にある事業所・施設等

(図1)同一建物内や同一敷地内の別の建物内にある事業所・施設等

なお、昨年度の老健事業では、通所介護(地域密着型、認知症対応型含む)と同一建物・同一敷地内での事業所併設状況について、最も多かったのは「併設なし」の34.9%。
併設事業所で多いのは居宅介護支援(26.2%)、訪問介護は2割程度となっている。
半数近くが併設なしの地域密着型、3割強がグループホームを併設する認知症対応型など、通所の種別ごとに特徴がみられる(図1)。

厚労省案に対し、委員からは「積極的な開発を期待する。定型的、画一的なサービスではなく、地域特性に応じて選択の幅が広がるような設計が必要だ」(座小田孝安・民間介護事業推進委員会代表委員)など推進する声も。
明確な反対意見はなかったが、花俣ふみ代認知症の人と家族の会常任理事は「(看多機などの)包括報酬は高額」と、低所得者でも利用しやすい報酬設定を要望。あわせて次世代のヘルパーを確保する施策も求めた。

現行、唯一の複合型サービスである看多機は12年創設から10年経過し、現在872事業所。未だ1カ所も整備されていない市町村も多い。
「25年に必要なサービス量を確保できる見込み」と回答した市町村は約半数にとどまる。
サービス整備の課題では、5割強が「参入事業者の確保が難しい」と回答している。

登録者数の平均は定員29人に対し27.6人と高い充足率。2割強の事業所で平均2.6人の登録待機者がいる。
田母神裕美日本看護協会常任理事は、在宅中重度者の受け皿として同サービスの利用拡大を提案。
設置市町村が少ない実態から、地域密着型ではなく居宅サービスに位置付け、かつ登録定員の拡大を求めた。

翌15日には、同協会として正式に厚労省へ要望書を提出している。

夜間対応型の統合も

新たな複合型と並行して検討の方向性に示されたのが、機能が類似・重複しているサービスの将来的な統合・整理。
例として、定期巡回サービスと夜間対応型訪問介護をあげた。

21年度改定の審議報告では、今後の課題の一つを「定期巡回・随時対応型訪問介護看護の普及」としており、「定期巡回サービスと同様の基準緩和を行った夜間対応型の在り方を検討していくべき」と明記されている。

今年7月審査分で定期巡回サービスは3.6万人(前年比8.7%増)、請求事業所1186カ所。対して、夜間対応型は0.7万人(同1.3%減)、174事業所といずれも地域密着型の中で最も少ない。

同省は昨年度の老健事業で両サービスの利用実態を比較。
▽利用者像が概ね同じ
▽夜間対応型と同じサービス提供圏域に定期巡回サービスまたは24時間対応の訪問介護がある割合が96.2%
▽夜間対応型が定期巡回サービスの指定も受けている割合が83.4%
――を踏まえ、「夜間対応型を定期巡回サービスに統合することが可能」との結論を報告している。

あわせて、定期巡回サービスの一部機能のみの利用を可能にする類型など、既存の夜間対応型利用者に影響が生じないような配慮も必要だとした。

サービス提供内容別(一部抜粋)の具体的な提供状況の実施割合

(図2)サービス提供内容別(一部抜粋)の具体的な提供状況の実施割合

ケア内容別の実施割合をみると、定期訪問では定期巡回サービスで「排泄の介助」「服薬管理」「安否確認」などがいずれも高い割合。随時訪問では定期巡回、夜間対応型で大きな差はみられない(図2)。

<シルバー産業新聞 2022年12月10日号>

   

 

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