2025年11月19日
厚生労働省は10月27日に社会保障審議会介護保険部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学理事)を開催し、2027年度介護報酬改定で運営基準に、介護事業者へのカスタマーハラスメント(カスハラ)対策を義務付ける方針を示した。今年6月に改正労働施策総合推進法が成立し、企業へのカスハラ対策が義務付けられたことを踏まえたもので、委員からは大筋で了承が得られた。
21年度介護報酬改定ではセクハラ・パワハラ対策が運営基準で義務化されたが、カスハラについては通知による対策の推奨にとどまっている。
同省の提案には、義務化とあわせて、既存の「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」等の見直しや、自治体・介護事業所への周知徹底も盛り込まれている。国はこれまでも▽マニュアルや事例集の作成・公表▽地域医療介護総合確保基金を活用した、都道府県による実態調査や研修実施、相談窓口の設置▽訪問介護のヘルパー補助者同行事業への助成――などの取組を支援してきた。
ただし、介護現場でのハラスメント対応には特有の難しさがある。部会でもこれまでに、利用者の言動が認知症のBPSDなどに起因する可能性があり、一方的にハラスメントと判断することへの懸念が示されてきた。同省はこの点について「例えば、もの盗られ妄想はハラスメントではなく、認知症の症状としてケアが必要であることに留意しなければならない」と説明。一方で、認知症や障がいに起因する暴言・暴力であっても、職員の安全に配慮し、施設・事業所等の組織的な対応が必要としている。
こうした状況を踏まえ、認知症の人と家族の会の和田誠代表理事は、今後の対策マニュアルの見直しにあたり、認知症や精神疾患を抱える人への配慮を求めた。
日本介護クラフトユニオンの染川朗会長は「職員の安全を守るため、一部の自治体では複数人のヘルパーが利用者宅を訪問する際の費用を補助している。同様に施設の人員を臨時に強化する場合の補助を含め、国として標準化してほしい」と求めた。
<シルバー産業新聞 2025年11月10日号>
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