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要注目!介護の最新事情

10年で認知症1割減へ。政府が掲げる認知症予防の取り組みは本当に妥当?

2019年6月6日

新オレンジプランに続く次の施策素案が発表に

2019年5月、政府は「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の後継となる、認知症対策大綱の素案を示しました(*1)。
この素案では、70代での認知症発症を10年間で1歳遅らせるという目標を掲げています。これが実現されれば、70代で認知症を持つ人の割合が10年で1割減ることになります。

政府は、具体的な認知症予防の取り組みとして、下記のようなことを挙げています。
・身近な「通いの場」の拡充と、「通いの場」への参加率のアップ
・「通いの場」を活用した運動不足や社会的孤立の解消
・保健師や管理栄養士などの専門職による健康相談等の実施
・エビデンス(根拠)のある認知症予防のための活動の進め方に関する手引きの作成
・認知症の予防効果がある活動事例を収集し横展開を図る
・認知症の予防効果がある民間の商品やサービスの評価・認証の仕組みの検討 など

認知症の予防については、世界保健機関(WHO)も2019年5月に新たなガイドラインを発表しています。
この新たなガイドラインでは、認知機能の低下や認知症発症のリスクを下げる取り組みとして、定期的な運動、禁煙、健康的でバランスのとれた食事、アルコールの摂取を控えること、血圧・血糖値・コレステロール値の適切なコントロールなど、12項目を挙げています。

 

「認知症予防」と「共生社会の実現」を両輪として推進

一方、認知症予防の取り組みとして「認知症対策大綱の素案」の中でもう1点、政府が掲げているのは、認知症になっても安心して地域で暮らし続けられる社会の実現、つまり「共生」の取り組みです。

具体的な取り組みとして挙げているのは、例えば、地域住民だけでなく、スーパーや金融機関の職員等、認知症の人と関わることが多くなると考えられる業界においても、認知症サポーター養成講座を受講してもらうこと(養成目標400万人)。
また、地域のさまざまな立場の人が、認知症の疑いがある人に気づき、地域包括支援センターなどの支援期間に早期につなげられる体制を整えるなど、少し盛り込みすぎではないかと思えるほど、さまざまな目標を掲げています。

認知症予防と、認知症があっても安心して暮らせる共生社会の実現を、素案では「両輪」としています。

認知症に限らず、病気の予防を心がけるのは確かに大切なことかもしれません。
しかし、認知症の最大のリスク要因は、年を重ねること。

現在、65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症またはその予備軍とされています。
年齢が高くなるにつれて、認知症を持つ人の割合は増え、85~89歳で約40%、90~94歳で約60%、95歳以上では約80%が認知症またはその予備軍だと推計されています。

▼年齢層ごとの認知症を持つ人の割合

出典:認知症施策推進のための有識者会議(第3回) 資料2「認知症予防に係るKPIの設定について」

どれだけ認知症予防に努めたとしても、年齢が高くなれば認知症になるリスクも高まるわけです。
そのため、予防を強調したり、数値目標を掲げたりすることは、認知症になったのは努力が足りなかったからだという誤解を招く恐れがあると指摘する声も上がっています(*2)。

 

共生社会の第一歩は、家族の理解を深めることから

また、認知症を持つ当事者の中には、認知症を持つ人が安心して暮らすには、最も身近で支えている家族が、認知症に対する理解を深めることが必要だと指摘する人もいます。

逆に言うと、家族の無理解によって傷つき、BPSD(認知症の周辺症状。行動・心理症状)が現れる人は少なくないのです。介護職にも、それを強く感じている人は多いのではないでしょうか。

認知症サポーターも、養成数の数値目標を掲げるだけでは不十分だという声があります。
養成講座の内容を、サポーターが地域で本当に当事者を支えることができるような内容にしていくことや、認知症サポーターになった人たちが支援者として実際に活動できる仕組み作りが必要だと指摘する人もいます。

日頃から認知症を持つ人を支援している介護職は、当事者が安心して暮らしていく上で、地域に欠けていると思うもの、安心できる環境づくりに必要なものをよく知っているはずです。
そうしたことを、もっと発信し、認知症があってもなくても心地よく暮らせる地域づくりを進めていってほしいと想います。

<文:介護福祉ライター・社会福祉士・公認心理師・臨床心理士 宮下公美子>

※1 認知症対策 予防に重点 政府大綱案「70代で6%減」(毎日新聞 2019年5月17日)
※2 社説 認知症対策大綱素案 予防より共生できる社会重視を(愛媛新聞 2019年5月19日)

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