キープリスト

一覧を見る

キープリストに登録されている求人はありません。

2024年05月14日

能登半島地震に見る食とトイレの備え

 2024年介護報酬改定でBCP未策定に減算が設けられたが、実際に起こる災害や感染症は不測の事態の連続。介護報酬上の減算回避にとどまらず、実効性の高いものにするため、BCPより広範なBCMS(事業継続マネジメントシステム、ISO22301)の視点から「取り組みを浸透させるための教育訓練」「継続的な改善」などに取組むことが理想的。今年1月に発生した能登半島地震をテーマに想定外の課題を振り返る。

輪島

地震火災に見舞われた輪島。復旧が待たれる

飲食物の備蓄は「確実に届くまで」

 災害の備えとして飲食物の備蓄は基本となる。一般的には国や自治体の支援が届くまでの発災後3日間をめどに、施設内備蓄することが推奨される。その数量についても施設利用者と職員だけでなく、一般の避難所では避難生活が難しい高齢者や障がい者などの一時的な受け入れを想定し、少し多めの数量が求められる。

 能登半島地震の場合、避難活動に使用する幹線道路が少なく、被災による道路網の混乱と相まって公的な支援物資の到着が遅れ、施設によっては2週間程度の備蓄が必要となることがあった。

 備蓄内容についても、飲み込む力が低下した人にも配慮した食品なども合わせて必要数を確保することが求められる。

尾西の振って作るムース尾西食品が6月に発売する長期保存食「尾西振って作るムース」。水を入れて振るだけで、すぐにムース状の高カロリー、高たんぱく食ができる。5年6カ月の長期保存可能

トイレ使用不可の影響

 トイレは上下水道が寸断され使用不可となった。また、半島状の地形のため補修要員の到着が遅れたこと、埋没水道設備の老朽化などの複合要因により、一般的な想定より復旧までに時間を要した。

 そうした中であっても排泄行為は生理現象のため、使用中止のトイレに仕方なく用を足し、排泄物があふれ出す場面が多く見られた。一部避難所・施設では、併せて不衛生な環境と冬季のためインフルエンザやノロウイルス感染が広がり、混乱に拍車をかけることになった。

 できるだけ不衛生なトイレに行かなくて済むように飲食を控える人もおり、それが原因で体調を崩す人も現れた。

衛生的な排泄物処理のために

 そうした中で活躍したのが排泄物処理袋やラップ式トイレ。

 発災から通電回復までは便器に被せて使用する排泄物処理袋で衛生的に処理を行い、通電後はラップ式トイレにより、排泄物を毎回包んで廃棄した。こうした排泄方法は、感染源の飛散防止により感染予防にも大いに効果を発揮した。

ワンズケア トイレ処理袋普段のポータブルトイレに被せても、災害時の洋式トイレに被せても使用できる総合サービス「ワンズケア トイレ処理袋(介護・災害兼用)」

 排泄物処理袋メーカー大手の総合サービス(東京都中央区、新妻普宣社長)では、これまでに20万枚・60万回分を被災地に提供したほか、ラップ式トイレメーカーの日本セイフティー(東京都千代田区、西田伸一郎社長)では800台を提供した。

 日本各地で頻発する災害の度に課題となるトイレ問題に対応するため、総合サービスでは自社調達のトラックで現地に製品提供を行ったほか、日本セイフティーはNPO法人災害医療ACT研究所(森野一真理事長)と協力し、ラップトイレ設置・使用方法を説明する社員を含めて現地支援を行っている。

 都市部、山間地域、海岸近くなど地域特有の要件も想定し、一度策定したBCPであっても、気象庁や内閣府「中央防災会議」などの最新の報告書や、発生した自然災害を参考に適宜見直しを図ることも重要となる。

ラップ式トイレ

使用中止のトイレ個室に設置されたラップ式トイレ

避難者

衛生的なラップ式トイレの到着に使用説明を聞き入る避難者の皆さん

<シルバー産業新聞 2024年5月10日号>

この記事をシェアする

介護求人ナビは全国で40,000件以上の介護・福祉の求人情報を掲載した、介護業界最大級の求人サイトです。訪問介護やデイサービス、グループホーム、有料老人ホーム、特別養護老人ホームなど高齢者介護の施設や、児童福祉や障害者支援に関わる施設・事業所の求人情報を多数掲載中。介護職、ヘルパー、ケアマネジャー、サービス提供責任者、ドライバーなど職種だけでなく、施設種類での検索や給与検索、土日休み・週休2日制・日勤のみ・夜勤専従・残業なしなど、こだわり条件での求人検索の機能も充実しているので、あなたにぴったりの介護求人が効率よく見つけられます。ブランク可な求人や未経験可の求人、研修制度ありの求人も掲載しているので、初めての転職でも安心!転職・就職・再就職・復職・アルバイト探しに、介護求人ナビをぜひご活用ください。

関連記事